第3回JANCOC会議レポート


八重ゆかり、津谷喜一郎

日時:1996年12月1日(日)11:00〜12:30
場所:東京医科歯科大学難治疾患研究所5階ゼミナール室

1.はじめに
 JANCOC代表の津谷喜一郎の開会の辞と配布資料の説明にひきつづいて参加者の自己紹介があった。

2.参加者
 参加者は当初の登録者39名中欠席14名、当日申し込み1名の合計26名であった。この会議に引きつづき、第1回コクラン・ハンドサーチ・ワークショップが後記するプログラムで開催され、第3回JANCOC会議の参加者のすべてがそちらにも参加した。またワークショップにのみ参加したものが11名で、ワークショップの方の参加者は合計37名であった。約半数の参加者はJANCOC関係の会議に初めて参加するものであった。

 当初の登録時の参加者の39人のプロフィールを、事前のアンケート調査により、1995年12月3日(日)の第1回システマティック・レビュー・ワークショップの時の参加者28人と比較すると、全体として医師が約半数で、ついで薬剤師が多く、他に統計学、保健学など、という構成はそう変わらない。

 参加者の情報環境とコクラン共同計画への関与度をみてみると、以下のようになる。

 NiftyServe使用者Internet使用CochraneHandbook所有Coch.Lib/CRG参加CDSRの所有
  e-mailWWW   
1995年(28人)20(71%)14(50%)11(39%)8(29%)4(14%)4(14%)
1996年(39人)12(31%)31(79%)28(72%)14(36%)5(13%)6(15%)

 情報環境として1996年はInternet使用者が80%近くになり、一方NiftyServe使用者は減少している。コクラン共同計画関連では、Handbookの利用者は増えたが、CDSR/Cochrane Libraryの利用者、共同レビューグループ(CRG)参加者は横ばいである。「正しい治療と薬の情報」(The Informed Prescriber:TIP)購読者は1996年のアンケートで初めて調査したが15人(38%)であった。

3.前年度活動報告
 1995年11月5日の前回第2回JANCOC会議以後の活動が報告された。

 (1)1995年12月3日のシステマティック・レビュー・ワークショップ

 28人の参加者があった。TIP紙に丁元鎮、古川壽亮、ゴールドバーグ公子の3氏によってワークショップ参加記が報告された。また津谷によりCochrane NewsとAustralasian Cochrane Centre Newsに、日本のコクラン共同計画関連の活動を含めてワークショップの報告がなされた。詳細は当日、これらの報告書をまとめたコピーが配布され、それにもとづき説明された。

 (2)出版project

  1. "Systematic Review"の日本語訳
    6人による分担とチェックシステムで、翻訳の進行中である。翻訳はやや遅れ気味。
  2. 「コクラン共同計画資料集」
    1995年12月3日の第1回システマティック・レビュー・ワークショップで用い られた日本語資料集に加筆補強したもの。その後の日本語文献などを組み込 む作業を行っている。
  3. Archiebald Cochrane著"Effectiveness and Efficiency"の日本語訳が結核 研究所の森亮氏によりすすんでいるが、翻訳権の交渉が遅れ気味とのことで ある。
 上記3つの本とも(株)サイエンティスト社より出版の了承を得ている。

 (3)ハンドサーチ

 JANCOC関係者により1996年11月1日の時点で下記の雑誌のハンドサーチが進行 中である。( )の中は担当者。
  1. MEDLINE収録誌
     a)In Japanese
       感染症学雑誌(下内/Chalker)
       癌と化学療法(昭和大医・豊洲病院)
       日本外科学会雑誌(上原)
       日本胸部疾患学会雑誌(下内/Chalker)
       脳神経外科(永山)
       脳と神経(永山)
     b)In English
       Bulletin of Tokyo Medical and Dental University(津谷)
       Japanese Journal of Cancer Research(昭和大医・豊洲病院)

  2. MEDLINE非収録誌
     a)In Japanese
       呼吸と循環(Langhan/永山)
       全日本鍼灸学会雑誌(津谷)
       日本化学療法学会雑誌(下内/Chalker)
       日本東洋医学雑誌(津谷)
     b)In English
       Japanese Journal of Primary Care(Silagy)
4.今後の活動計画

 上記の活動報告は質疑応答や今後の活動案などを含めてなされ、以下の活動計画が決まった。また活動計画の一部は、同じ参加者が参加した第1回ハンドサーチ・ワークショップの席上においても議論されたが、この第3回JANCOC会議レポートの方にまとめて記す。

 (1)啓発・教育関連

  1. ワークショップの開催
    参加者の関心、知識に応じて、コクラン・システマティック・レビューの ワークショップやハンドサーチのワークショップなどを、東京のみならず各 地で関心を持つ人を中心として行う。
  2. 出版project
    上記した3冊の本の出版を急ぐと同時に、今回のワークショップの例を含め た、わかりやすいハンドサーチの日本語資料集をなるべく早く作る。
  3. 統計学用語の解説
    コクラン共同計画で用いられる統計学用語のわかりやすい解説をつくり、 JANCOCのHome Pageなどにのせる。Cochrane Libraryのglossaryの訳も一つ の案。
 (2)Cochrane Library関係

  1. Cochrane Libraryの日本代理店
    公的機関は公費で支払いするために日本代理店が必要。なるべく早く代理店をさがす。
  2. Cochrane Review Listのupload
    Cochrane Review Listはコクラン共同計画の現状が具体的にわかるものであり、NiftyServe/FDRUGに原文をまずuploadして人々に知ってもらう。
  3. 翻訳のupload
    ついでその日本語訳をつけて、同じくuploadする。
  4. 各Reviewのabstractの日本語訳
    Reviewの一部はそのabstractの部分のポルトガル語訳ができており、Cochrane Libraryに組み込まれている。日本語訳についても検討する。
 (3)日本の医学文献データベース
  1. 現存データベースの改善
    無作為化比較試験(randomized controlled trial:RCT)や比較臨床試験(controlled clinical trial:CCT)の統制語をJMEDICINEや医中誌に登録してもらうよう働きかける。
  2. 日本におけるRCT/CCTのデータベースづくり
    Funding Agencyを捜し、日本でのハンドサーチの活動とリンクする形でpilot projectを計画する。
 (4)Manpower development

  1. JANCOC名簿のupload
    メンバーのお互いの連絡に用いてJANCOCの活性化をはかるために、JANCOC名 簿の必要な部分をNiftyServe/FDRUGにuploadする。Canadian serverには directoryがすでに存在する。
  2. 日本人主体のCRG
      日本人が中心となるようなCRGを見つけて作成する。
  3. volunteerさがし
    種々の活動に参加してくれそうなvolunteerを見つける努力をする。
5.第1回ハンドサーチ・ワークショップのプログラム (ver.7, 1996.10.10)

日 時:1996年12月1日(日)13:00-20:00
場 所:東京医科歯科大学・難治疾患研究所 5Fゼミナール室
    〒101 東京都千代田区神田駿河台2-3-10
    Tel: 03-5280-8070, Fax: 03-5280-8071
参加費:4,000円

Agenda:

Part1:Cochrane Collaborationの簡単な紹介と各種医学文献データベースのpublication type

13:00-13:30  Cochrane Libraryのdemonstration
         津谷喜一郎(JANCOC 代表)
13:30-14:00  Review Managerのdemonstration
         丁 元鎮 (NIFTY FDRUG の system operator)
14:00-14:30  MEDLINEについて−MeSHとpublication typeを中心として−
         山崎茂明 (東京慈恵会医科大学 医学情報センター)
14:30-15:00  JMEDICINE(JICST+医中誌)について−記事区分を中心として−
         鈴木寿春 (JICST)  
15:00-15:30  JAPIC-DOCについて−publication typeに類した検索コードと 検索ワードを中心として−
         八重ゆかり(JAPIC)
15:30-16:00  <coffee break>

Part2:Handsearch の case reports

16:00-16:30  Case1:感染症領域
         下内 昭 (結核予防会結核研究所・研修部)
16:30-17:00  Case2:外科領域
         上原鳴夫 (国立国際医療センター・国際医療協力部)
17:00-17:30  Case3:strokeとProciteの紹介
         折笠秀樹 (富山医科薬科大学医学部・統計・情報科学)
17:30-18:00  Case4:大学紀要とMEDLINE未収録雑誌
         津谷喜一郎(JANCOC 代表)
18:00-20:00  free discussion
20:00      adjournment

問い合わせ・申込先:サイエンティスト社
tel: 03-3253-8992, fax: 03-3255-6847, email:KYA00163@niftyserve.or.jp