日 時:1994年11月5日(土)13:00〜16:30
場 所:東京医科歯科大学難治疾患研究所・情報医学研究部門・臨床薬理学第5研究室
出席者:別添資料のとおり(省略)
1.はじめに
津谷喜一郎氏より開会の辞と今回の集まりについて経緯説明があり,引き続き協議に入った。ついで出席者全員の自己紹介があった。各人の所属等については別表(省略)のとおり。2.現状報告
B氏,津谷氏よりコクラン共同計画(以下,CCと略)の概要・全体象・現状について説明があった。
1)CCは医薬を含むすべての医療技術の評価を行ない,政府の政策決定から臨床での意志決定までに貢献することをめざす。そのために世界中の無作為化比較試験(以下, RCTと略)の systematic review,経時的 follow up を行ない,これを分析(メタアナリシス)して世界中に提供する。2)現在CCに参加している国は英国,カナダ,ノルディック(コペンハーゲン,アメリカ(ボルチモア),イタリア,オーストラリア,イタリア。英国ではNATIONALHEALTH SERVICEの一環として始まった。北欧,英国,カナダは医療システムが似ている。 オーストラリアは製薬企業が事実上存在しない。中立的情報誌"AustralianPrescriber"は政府が発行している。
3)ボルチモアのセンターではNLMと協力してRCTのデータベースを構築する動きがある。MEDLINEでもMedical Subject Heading(MeSH)でRCTに基づいた研究報告を検索できるが,選別が不十分である。このために1995年からはMeSHをpublication typeにして,RCTとは別の比較臨床試験;ControlledClinical Trial(CCT)というカテゴリーが導入される。
4)CCデータベースに基づいたThe Pregnancy & Childbirth(CCPC)というMS-DOS用データベースソフトが完成している。 このソフトは£99($160,\16,000)で入手可能。引き続き,stroke,schizophrenyに関するものがリリースされる予定。入手法については別添資料のとおり。
5)インターネット上ではCochrane Collaboration Informatics Project(CCIP)というサイトができている(運営はカナダのCCセンター)が中身はこれから。インターネットCCIPサイトからの anonymus FTP(無料ファイル転送サービス)についても説明があった。アクセス法等の詳細は別添資料のとおり。
6)CC HANDBOOK,CC NEWSLTTERの紹介があった
7)臨床薬理学会に関連した最近の動きについて紹介があった。
・RA−DAR
・DIA
・AHCPR
・CRO 等8)その他の動き
・"Effectiveness and Efficiency"(Cochraneの著作)の翻訳が来年(1995年)出版の運び。翻訳は結核研究所のI氏。3.今後の日本側の活動方針
1)津谷氏より,現時点で日本国内にCCセンターを設置すべきかどうかについて問題提起があった。日本での位置づけ,政治的配慮,組織管理,人選の問題などがあるとの指摘があった。その他,次のような意見が出された。
2)ネットワークの設立
- 臨床に近い人が必要ではないか。費用・ハードウェアの面から考えて,製薬メーカーの中立的な人も必要ではないか。
- より多数の臨床薬理学研究者が参加すべきではないか。
- 英国のヘルクスハイマー博士は「臨床薬理学者こそCCのような仕事をやるべきではないか」と言っている。
3)ネットワークの課題
- 正式な日本CCセンターをつくるのは時期尚早であろう。
- まずはhuman networkをつくり,CCについて日本語での啓発活動を行うことが重要である。
- 津谷氏より各国のCCの目的・目標・役割の違いについて説明があった。
- B氏より『正しい治療と薬の情報;TIP』の経験から,CCを国内で設立する際にも,いきなり正規のセンターを設立するのではなくまずhuman networkをつくる必要があるのではないか,との提言があった。
- human networkをつくった場合にやるべきことについて協議された。
・CCに興味を持つ人たちを様々な手段で啓発する
・参加メンバーの発掘・紹介
・ネットワークの構築
どのような方法で・どこに,センターをつくるか
例:Nifty,Internetなど
国立衛生試験所のInternetサイトに実験的に開設する方法もあるが、若干の問題もある由
- 日本国内の非公式(Human)ネットワークの名称について津谷氏から提案がありJApan informal Network for COchrane Collaboration(JANCOC;ジャンコック)と命名された。
B氏より「コンピュータはまだまだ普通の人にはとっつきにくいものであり,CC情報源の活用のためにも,まず初歩的なアクセス入門ガイドのようなものをつくる必要があるのではないか,との意見があった。
- CCハンドブックの目次と入手法を日本語で登録すること
- 海外からJANCOCに対する照会に対応する手順をきめること
- 国外CCとのチャンネルを確保すること
- 学会等の場での発表・PRをおこなう必要があること
- TIP誌10周年記念行事とDIA(Drug Information Association;'94.8に日本で開催予定)をカップリングしてセミナー等を企画・開催する
4)今後の具体的な方針
別添資料【省略】
- NIFTY FDRUG内に1995年夏頃をめどに仮会議室を開設
- 上記専用会議室開設について各メディアを通じてアナウンスする
- F氏がCCハンドブックの目次を翻訳することとし,それをどこかのメディアに掲載する
- 日本国内のネットワーク参加者について照会があれば対応する
→JICST RESを利用してもらう
→津谷氏が英語のマニュアルを作成する
名簿の名称:
"Members List of Japan Informal Network for Cochrane Collaboration"
(1)国内CCネットワークメンバーリストと11月5日の出欠状況
(2)The Pregnancy & Childbirth(CCPC)の入手法
(3)Cochrane Collaboration Informatics Project(CCIP)へのアクセス法