尿路感染症予防のためのクランベリー

Cranberries for the prevention of urinary tract infections

Jepson RG, Mihaljevic L, Craig J

最終更新日:19/08/1998


目的:尿路感染にかかりやすい集団で,クランベリージュース及び他のクランベリー製品の尿路感染症の予防効果を評価する.

検索方法:電子データベースやインターネットを英語,非英語の用語を用いて検索した.クランベリー製品の販売及び普及に携わっている企業に連絡を取った.レビュー文献の参考文献リストや関連ある試験を検索した.

選択基準:尿路感染にかかりやすい集団で,クランベリージュース/製品による尿路感染症の予防に関する全てのランダム化比較試験と準ランダム化比較試験.男性,女性,子供の試験も含めた.

データ収集と解析:レビュアーのRJとLMが独立して評価して,特別にデザインされたデータ集計の形式でデータを集めた.それぞれの採用された試験で,試験の方法,参加者,介入方法,アウトカムの情報が集められた.我々はレビューに利用可能なデータの性質上,統計学的な解析を行う事は出来なかった.

主な結果:4つの試験が包含基準を満たした(三つがクロスオーバー,1つがパラレル群).三つがクランベリージュースとプラセボのジュースまたは水との比較を行い,一つがクランベリーカプセルとプラセボの効果の比較を行っていた.二つの試験は除外された.目的とするアウトカムは各群における(症候性,無症候性の)尿路感染症の回数,治療の副作用及び治療に従う率である.4つの試験の内,三つからのデータでは,クランベリーは少なくとも一つのアウトカムにおいて効果があった事を示していた.しかしながら,四つの試験の質は低く,結果の信頼性は疑問が残るものであった.

結論:数少なく質の低い試験では,クランベリージュースまたは他のクランベリー製品の有効性について,信頼に足るエビデンスは与えられなかった.試験の中で多数の脱落,中止者があったことは,クランベリージュースが長期間の服用には受け入れられない事を示しているかもしれない.クランベリーカプセルのような他のクランベリー製品はもっと受け入れられやすいかもしれない.入手可能なエビデンスに基づくと,クランベリージュースは,尿路感染にかかりやすい集団の尿路感染症の予防としては勧められない.関連するアウトカムを調べる,適切にデザインされた試験がさらに必要である.


Citation: Jepson RG, Mihaljevic L, Craig J. Cranberries for the prevention of urinary tract infections. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:吉村 学/宮本英樹)