子宮頚部上皮内腫瘍の外科的治療

Surgical Treatment of Cervical Intraepithelial Neoplasia (CIN)

P.L.Martin-Hirsch, E.Paraskevaidis, H.Kitchener

最終更新日:13/08/1998


目的:1.子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)の根治療法における,代替的外科的治療法の有効性を評価する.

2.異なる治療法に関連する,以下のことに対する特性や罹患率を評価する.

a)治療の期間

b)手術前後の痛み

c)手術前後の出血,原発性および続発性の出血

d)熱によるアーチファクトの出現と深さ

e)経過観察時の適切なコルポスコピー

f)経過観察時の子宮頚部の狭窄

検索方法:CIN治療のための外科的術式を比較した,1997年7月以前に登録された全てのランダム化試験を確認する目的で,コンピューターによるMEDLINE検索と文献のハンドサーチを行った.

選択基準:研究:ランダム化,または準ランダム化試験

参加者:CINの治療を受けている女性

介入:CINの代替的外科的治療のいずれか

レーザー剥離術,レーザー円錐切除術,冷凍療法,メス円錐切除術,移行帯のループ切除術,根治的電気焼灼術

アウトカム評価:取り残しの有無,治療に要する期間,手術前後の出血,原発性および続発性の出血,熱によるアーチファクトの深さ,断端の正確な解釈を妨げる重大なアーティファクトの存在,経過観察時の適切なコルポスコピー(移行帯全域の視覚化),および経過観察時の子宮頚部の狭窄

データ収集と解析:データの抽出は2人のレビュアーが独立して行い,いかなる意見の違いについても討論のうえ解決した.

主な結果:システマティック・レビューとメタ・アナリシスの結果,異なる外科的術式のいずれを用いても病気の根治においては有意な差がないことが示された.

罹患率の低い場合の組織学的解釈においては,レーザーまたはメスでの円錐切除術による生検と比べて,移行帯のループ切除術が最も信頼性のある標本を提供できるようである.それは罹患率の低い場合のレーザー剥離術と同等に有効であり,そのうえ組織学的評価のために切除標本を提供できる.

結論:確認された22例のRCTによるエビデンスは,子宮頚部上皮内腫瘍の根治を目的とした外科的術式において圧倒的に優れた方法はないことを示している.

子宮頚部外膜に位置する病変の治療法の選択は,コストや罹患率のほか,切除的治療以前にコルポスコピーで得られた標本に比べてより確実な生検標本を提供できるか否かに基づく.


Citation: P.L.Martin-Hirsch, E.Paraskevaidis, H.Kitchener. Surgical Treatment of Cervical Intraepithelial Neoplasia (CIN). In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/糸矢宏志)