不妊:骨盤内手術:癒着を予防するために追加する薬物と点滴製剤

Subfertility: Pelvic surgery: Pharmacological and liquid adjuncts to prevent adhesions

Watson A, Vandekerckhove P, Lilford R

最終更新日:09/08/1998


目的:不妊患者における骨盤内手術をする際,薬物や点滴製剤が,術後の癒着の発症率や程度を下げるか,そして/または,その後の妊娠率を改善するか,調べること.

検索方法:コクラン月経異常疾患と生殖能力低下グループの比較臨床試験特別レジスター.

選択基準:不妊のための骨盤内手術後の癒着を予防するための薬物と点滴製剤の使用を調べたランダム化比較試験.

データ収集と解析:データは著者名最初の二人により独立して抽出された.意見の相違は登録しておき,上級の著者(RJL)とコンセンサスを得て解決した.

個々の試験の妊娠結果に対して2x2表が作成され,妊娠率への効果が95%信頼区間つきのオッズ比で表現された.

主な結果:ランダム化比較試験で調べられたどの薬剤,点滴製剤も術後の妊娠率の改善を示さなかった.

ステロイドが術後の癒着の発症率や程度を下げるという根拠があった.

デキストランは癒着の発症率も程度もさげないようである.  

結論:ランダム化比較試験から得られた根拠に基づけば,不妊手術後の癒着を予防するために薬剤や点滴製剤をルーチンに使うには勧められない.癒着予防に関しては,ステロイドに関する根拠は,完全な根拠という視点からは遠く離れているが,有益であろうと暫定的には考えられる.さらなるランダム化比較試験が行われる必要がある.


Citation: Watson A, Vandekerckhove P, Lilford R. Subfertility: Pelvic surgery: Pharmacological and liquid adjuncts to prevent adhesions. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:宮本英樹/岡山雅信)