経口亜鉛剤は慢性下腿潰瘍を治癒させるか？

目的：経口亜鉛が静脈あるいは，動脈性の下腿潰瘍の治癒を促進させるかどうかを決定する．

検索方法：コクラン創傷グループの検索方法を用いて関連するランダム化比較試験を同定した．硫酸亜鉛錠を製造している製薬企業に，関連する研究の問い合わせをした．

選択基準：慢性の静脈あるいは，動脈性の下腿潰瘍の患者に対する経口硫酸亜鉛と，プラセボまたは無治療を比較したランダム化比較試験．

研究の終了時点での潰瘍の治癒数で示される潰瘍の完全治癒を主な測定項目とした．治癒までの期間，研究中に治癒した潰瘍の大きさ，潰瘍の治癒率などにより客観的に潰瘍の治癒を評価している研究を選択した．

データ収集と解析：すべての研究の方法論的質はチェックリストを用いて，合意した基準で評価した．

治療の有無による潰瘍治癒のオッズ比を算出した．

主な結果：6つの選択されたランダム化比較試験は全て小規模であり，いくつかの試験では血清亜鉛は初期に測定されただけであった．全体として，研究終了時の潰瘍の治癒数について硫酸亜鉛による治療の有益な効果の根拠は得られなかった．初期に血清亜鉛が低値である患者の静脈性潰瘍の治癒については，経口亜鉛は有益な効果があるかもしれない．

結論：血清亜鉛が低値である静脈性潰瘍患者の治癒については効果があるかもしれないが，全体としては経口硫酸亜鉛は下腿潰瘍の治癒を促進しない．このことを証明するためにはさらなる調査が必要である．また，もしそうであれば，亜鉛治療が有用な血清亜鉛値と，最善の治療計画を確認する調査が必要である．

Citation: Wilkinson EAJ, Hawke CI. Does oral zinc aid the healing of chronic leg ulcers?. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.