下痢の治療:米を成分とした経口水分補給剤

Diarrhoea treatment: rice-based oral rehydration solution

Fontaine O, Gore SM, Pierce NF

最終更新日:02/08/1998


目的:米を成分とした経口水分電解質補給剤(粉末米50-80g/l含有)が,ぶどう糖を基本にした世界保健機関(WHO)の経口水分電解質補給剤と比べて,急性水様性下痢患者の下痢の量や期間を短縮するか比較した.

検索方法:MEDLINE,EMBASE,コクラン比較臨床試験レジスター,関連する報告の引用文献,その分野の研究者への問い合わせ.

選択基準:標準的なWHOの経口水分電解質補給剤と,ぶどう糖(20g/l)の代わりに50-80g/lの粉末米を使った実験的な経口水分電解質補給剤で,電解質の変更はしていないものを比較したランダム化比較試験.

データ収集と解析:成人と小児のコレラ患者と非コレラ患者に分けた.24時間の排便量,全排便量,下痢の期間を測定した.

主な結果:米を成分とした経口水分補給剤は標準的な経口水分補給剤と比較して,初期24時間以内の平均排便量が,小児コレラ患者では67ml(95%信頼区間94 - 41ml),成人では51ml(66 - 36ml)少なかった.急性の非コレラ性下痢の幼小児では排便の減少は4ml(9 - -1ml)だけであった.

結論:米を成分とした経口水分補給剤は,標準的な経口水分補給剤よりコレラによる下痢で明らかな利益があるが,急性の非コレラ性下痢では明らかでない.


Citation: Fontaine O, Gore SM, Pierce NF. Diarrhoea treatment: rice-based oral rehydration solution. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:橋本 淳/濱崎圭三)