超未熟児に対する予防的経鼻持続陽圧換気

Prophylactic nasal CPAP in very preterm infants

Subramaniam P, Henderson-Smart DJ, Davis PG

最終更新日:21/08/1998


目的:超未熟児に対してその呼吸状態に関わらず,生後すぐ予防的に持続陽圧換気(CPAP)を行うことが,合併症なく間欠的陽圧換気(IPPV)の使用や慢性肺疾患(CLD)の発症率を減らせるかどうか調べる.

検索方法:コクラン新生児レビュー・グループの標準的な検索ストラテジーを用いた.Oxford Database of Perinatal TRIALs,コクラン比較臨床試験レジスター(CCTR),MEDLINEや,cross reference, abstract, conferences, symposia, proceedings, expert informantsを含む以前のレビュー,主に英語でのハンドサーチ.

選択基準:妊娠32週未満and/or出生体重1,500g未満の超未熟児で,ランダムおよび準ランダムに患者の割付けを行っているすべての試験をとりあげた.比較は呼吸状態に関わらず,生後すぐ予防的に持続陽圧換気を行う群と,確定した呼吸器疾患によってCPAPあるいはIPPVが使われる「標準型」治療群とで行われたものでなければなばない.

データ収集と解析:コクラン共同計画とコクラン新生児レビュー・グループの標準的な方法を用いた.これは各自が独立して試験の質やデータの抽出を行うものである.データは相対危険度(RR)を用いて解析された.

主な結果:82人の超未熟児に関しての試験の中で結果に統計学的に有意な差は認めなかった.しかし予防的に経鼻CPAPを受けている児の方がIPPVを多く受けていた.これは統計学的には有意ではなかった.治療を受けた群の方がCLD(RR 2.27, 95%CI 0.77, 6.65)や死亡(RR 3.63, 95%CI 0.42, 31.08)や脳室出血(RR 2.18, 95%CI 0.84,5.62)の発生が多い傾向があった.治療群では壊死性腸炎の発生率が少ない傾向もあった(RR 0.4, 95%CI 0.13, 1.21).

結論:この治療を勧めるのに十分な情報はない.レビューした文献ではIPPVの使用を減らすというエヴィデンスはなかった.いくつかの合併症が増えるとういデータがあり,これについてはさらなるデータが必要である.この治療の有用性を確認するためにはこの予防的経鼻CPAPと「標準型」治療とで多施設でのランダム化比較試験が行われる必要がある.


Citation: Subramaniam P, Henderson-Smart DJ, Davis PG. Prophylactic nasal CPAP in very preterm infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:松本正俊/鶴岡浩樹)