新生児に対する周産期仮死後の予防的抗けいれん剤治療について

Prophylactic neonatal anticonvulsant therapy following perinatal asphyxia in full term newborns

Evans DJ, Levene MI

最終更新日:04/05/1998


目的:妊娠37週以降の周産期仮死に対し,死産の防止や引き続き起こる重大な精神発達障害,およびけいれん発作の予防目的で,抗けいれん剤を投与する益と害について評価する.

検索方法:電子データベース(MEDLINE),ハンドサーチ,コクラン新生児レビューグループ比較臨床試験特別レジスターから引き出した重要なランダム化比較試験.

選択基準:周産期仮死後37週以降の新生児期に抗けいれん剤治療を受けた群とプラセボを受けたか受けていないコントロール群の間で,死亡率,精神発達障害,新生児てんかん,有害事象をアウトカムに比較したすべてのランダム化および準ランダム化比較臨床試験.

データ収集と解析:方法論的な質と研究の妥当性は,結果の重要性抜きに評価された.関連データは結果から引き出され分析された.

主な結果:5つのランダム化もしくは準ランダム化比較試験の判断基準は同一視された.死亡率および重症精神発達障害の危険性を,臨床的に妥当に有意な変化として証明できる十分な方法論的質とサイズを兼ね備えた研究はなかった.3つの研究をまとめた1つのメタ・アナリシスは周産期仮死の慣習的な治療にバルビツール酸誘導体を併用したものだが,死亡や重症精神発達障害の危険率,あるいは死亡,あるいは重症精神発達障害において差は認められなかった.

結論:現時点では,周産期仮死に引き続く乳児期の抗けいれん剤治療は,遷延性あるいは頻回に生じる発作の治療以外には日常診療として推薦できない.将来的には高い質,すなわち,作業や結果評価がブラインド化され割り当てられるランダム化比較試験の研究がされるべきである.そのような研究は第一測定結果として最小限の摩擦で死亡率と重大な精神発達障害の臨床的に重要な減少を発見する検出力を持つために十分なサイズで行われるべきである.


Citation: Evans DJ, Levene MI. Prophylactic neonatal anticonvulsant therapy following perinatal asphyxia in full term newborns. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:濱崎圭三/鶴岡浩樹)