危篤患者における人アルブミン投与

Human albumin administration in critically ill patients

The Albumin Reviewers (Alderson P, Bunn F, Lefebvre C, Li Wan Po A, Li L, Roberts I, Schierhout G

最終更新日:22/05/1998


目的:危篤患者の管理における,人アルブミンと血漿たんぱく分画(PPF)投与の,死亡率における効果の数量化.

検索方法:試験は,コクラン比較臨床試験レジスター,MEDLINE,EMBASEそしてBIDS Index to Scientific and Technical Proceedingsのコンピューター調査,注意深い29の国際学術誌といくつかの国際輸液療法ミーティングの予稿集のハンドサーチ,試験とレビュー論文の参考リストの調査,さらに,すべての同定された試験の著者と接触して,出版されたか未発表かどうかにかかわらず遂行されたかもしれない他の試験について問い合わせをし,同定された.

選択基準:循環血液量減少症,熱傷,あるいは低アルブミン血症の危篤患者において,アルブミン/PPFと,アルブミン/PPFなし,あるいは晶質溶液とを比較した,すべてのランダム化比較試験.

データ収集と解析:参加者のタイプ,投与されたアルブミン溶液のタイプ,フォローアップ終了時の死亡率,Schlzによって提案された基準に従って比率化された割付け隠蔽の質,に関するデータを収集した.その分析は,患者のタイプに従って層別化された.相対リスクと95%信頼区間は死亡率に関して計算された.パブリケーション・バイアスは,Funnelプロットの非対称性に関する回帰試験を使って評価された.

主な結果:このレビューは,組込み基準を満たし,アウトカムとして死亡を報告している30の試験を同定した.それらには,156の死亡を含む1,419の参加者がいた.

それぞれの患者カテゴリーに関して,アルブミン治療群の死亡のリスクは,対照群より高かった.循環血液量減少症では,アルブミン投与後の死亡の相対リスクは1.46(95%信頼区間 0.97-2.22),熱傷では2.40(1.11-5.19),そして低アルブミン血症では1.69(1.07-2.67)であった.アルブミン投与の死亡の集積相対リスクは1.68であった(1.26-2.23).全体として,アルブミンを投与された患者の死亡のリスクは14%,アルブミンを投与されていない患者の死亡のリスクは8%で,6%(3%-9%)アルブミンに伴う死亡のリスクの増加が認められた.これらのデータは,17人の危篤患者にアルブミン治療を行うごとに1人の死亡を増やすことを示唆する.

結論:アルブミン投与が循環血液量減少症,熱傷あるいは低アルブミン血症の危篤患者の死亡のリスクを減少されるという証拠はなく,死亡のリスクを増やすかもしれないという強い示唆がある.これらのデータは,危篤患者における人アルブミンの使用は,緊急にレビューされるべきであり,厳しく管理されたランダム化比較試験の環境以外では使用されるべきではないことを示唆する.


Citation: The Albumin Reviewers (Alderson P, Bunn F, Lefebvre C, Li Wan Po A, Li L, Roberts I, Schierhout G. Human albumin administration in critically ill patients. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:亀井陽子/古賀義規)