レボドパによる運動機能障害を合併したパーキンソン病患者において,プラセボと比較したブロモクリプチン・アジュバント療法の有効性と安全性

The efficacy and safety of adjunct bromocriptine therapy versus placebo in patients with Parkinson's disease suffering from levodopa-induced motor complications

Hilten JJ van, Ramaker C, Beek WJT van de, Finken MJJ

最終更新日:22/05/1998


目的:運動機能障害を合併したパーキンソン病患者の治療において,ブロモクリプチン・アジュバント療法の有効性と安全性をプラセボと比較する.

検索方法:コクラン・ライブラリー,MEDLINEの検索方法,,MEDLINE検索で見つけられたレビューの引用文献リスト,サンド社(ブロモクリプチンの製造会社),シンポジウムのレポート,パーキンソン病ハンドブック,SCISEARCH,ブロモクリプチンの試験をコーディネートした医師に連絡を取り,得られたあらゆる研究の引用文献リストを用いて,関連のあるランダム化比較試験の確認作業に当たった.

選択基準:運動機能障害を合併したパーキンソン病患者において,レボドパによる治療の補助を目的としたブロモクリプチンの有効性を調べたランダム化試験を,適格なものとして選んだ.アウトカムは,運動機能合併症の発生と重症度,機能障害と能力障害のスコア,副作用の発生について調べられた.

データ収集と解析:確認された試験について3人が独立してレビューを行った定量的なシステマティック・レビューが行えるかどうかを判定するために,適切な研究について方法論的な質を考慮して調べた.

主な結果:このレビューでは8件の試験について,方法論的な質に関する重要な欠点を確認した.その全試験でランダム化の過程の適切な記述が欠けていた.試験担当者との協議によって,3件で適切なランダム化が行われたことが明らかになった.出版された報告の情報に反して,1件のプラセボ比較試験が実際はオープン試験で行われたことが判明し,除外された.残る7例は双盲デザインに従って行ったと報告されたが,1例で5週目以降は盲験が行われなかった.試験期間について4週〜40週(平均14週)と著しいばらつきが見られた.intension to treatの原理に従って行われた試験はなかった.組込み基準を考慮しても,パーキンソン病患者が実際に運動機能合併症に苦しんでいるかどうかがはっきりしないことが多い.ベースラインの特性や滴定相でのブロモクリプチンの導入率に関して,研究間で顕著な差が見られた.主な違いは用いられたアウトカムに関してである.運動機能合併症の発生と重症度を調べるための様々な方法は,適切な臨床観察の基本を欠いていた.機能障害と能力障害を調べる多様なスケールが用いられた.機能障害と能力障害レベルを測るスコアがon-off-phaseに関連しているかどうかについては,報告されていない.

結論:このレビューでは,重要な方法論上の問題と不均一性の原因を強調している.そのために試験の比較が障害されるだけでなく,運動機能傷害を合併したパーキンソン病患者のアジュバント療法におけるブロモクリプチンの有効性について結論づけることができなくなる.


Citation: Hilten JJ van, Ramaker C, Beek WJT van de, Finken MJJ. The efficacy and safety of adjunct bromocriptine therapy versus placebo in patients with Parkinson's disease suffering from levodopa-induced motor complications. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/吉村 学)