喘息の管理におけるハウスダストのダニのコントロール基準

House dust mite control measures in the management of asthma

Hammarquist C, Burr ML, Gotzsche PC

最終更新日:30/04/1998


目的:このレビューの第1の目的は,ダニ感受性の喘息患者が家庭内でのハウスダストのダニ抗原に曝露されることを減少させるためにデザインされた基準から利益を得るかどうかを決定することである.第2の目的は,ダニ感受性の喘息患者がハウスダストのダニ抗原に曝露されることを減少させることが証明されている方法から利益を得ているかどうかを決定することである.

検索方法:潜在的に適格な試験が,コクラン気道グループによって確立された"Asthma and Wheez* databases"のデータベースを調査することで得られた.そのデータベースは,次の3つのシステムからダウンロードされたデータを収容している:CINAHL(The Cumulative Index to Nursing & Allied Health Literature),MEDLINEおよびEMBASEである.CINAHLでは1982年まで,MEDLINEでは1966年まで,EMBASEでは1980年までさかのぼっている.その検索はそのデータベース内のすべてのフィールドにわたって行われ,タイトルや抄録あるいはキーワード(解説)の項にダニとあるデータを拾い上げた.ランダム化比較試験の確認は,すべてのフィールドにおいて,"random* OR trial* OR placebo OR double-blind OR double blind OR single-blind OR single blind OR comparative study OR controlled study"の検索式で検索が行われた.言語による制限はなかった.それぞれの文献の参考文献が追加的な参考文献として調べられた.ランダム化比較試験の筆頭著者は,必要に応じて,明確にするための連絡を受けた.1980年から1996年までの Respiration(CH)のハンドサーチを行い,1980年から1996年までのClinical and Experimental Allergy(MB)のハンドサーチを行った.

選択基準:ただ1つのランダム化比較試験が組入れられた.参加者は医師から気管支喘息であると診断された.彼らのダニ感受性は,皮膚試験,気管支刺激試験あるいは血清IgE抗体の検査によって評価された.

以下のアウトカムが考慮された.

主観的に良好な状態であること

喘息症状のスコア

薬物の使用

学校または仕事での病気休暇の日数

医師または病院を臨時に訪れた回数

FEV1(1秒間での強制の呼気量)

PEFR(呼気のピークフローの割合)

PC20(FEV1で20%の低下を引き起こす刺激的な濃度)

皮膚のプリックテスト

データ収集と解析:著者の2人は,独立して,包接基準を満たすの試験を選び,そのデータを抽出して,あらゆるあいまいさは討議によって解決された.95%信頼区間(CI)が計算された.ヘテロ性の検定については p <0.10であったので,ランダム効果モデルによる分析が行われた.データが時々異なったスケールで提出されていたときから,連続データについては標準化された平均差が使用されていた.

主な結果:我々が調査した研究の中には,ダニまたはその産生物に曝露されることを減少させることが患者の喘息を改善したということを納得させる証拠を見つけられなかった.

実験的介入の後に改善した患者の総数は,コントロール群での対応する数と非常に類似していた(41/113 対 38/117,オッズ比 1.20,95%CI 0.66-2.18).喘息の症状のスコアは非常に不均一であった(ヘテロ性の検定について p <0.0001)が,効果についての指摘はなかった;標準化された平均差は,-0.06(95%CI -0.54-0.41)であった.薬物の使用についての有意差は全体的に言及されていなかった;標準化された平均差は,-0.14(95%CI -0.43-0.15)であった.

午前中のピークフローは多くの共通な変数として報告されていた.標準化された平均差は,-0.03(95%CI -0.25-0.19)であった.しかし,化学的方法については有意差があり,コントロール群に有利であり,標準化された平均差は,-0.50(95%CI -0.98--0.01)であった(この研究は基本線に差があり,コントロール群に有利となる).物理学的方法については,5つのクロスオーバー研究では,差は 0.06(95%CI -0.26-0.37)であり,唯一のグループ比較試験では,0.33(95%CI -0.28-0.94)であった.組み合わせた方法については,差は 0.02(95%CI -0.46-0.50)であった.FEV1に関しては影響はなく,標準化された平均差は,0.09(95%CI -0.16-0.33)であった.

PC20に関しては,治療間に差はなかった.標準化された平均差は,-0.04(95%CI -0.32-0.23)であった.

ある研究では,コントロールの期間中は3人欠席したのに,それとは対照的に治療期間中は12人の患者のうちのだれも学校を欠席しなかった.しかし,学校を欠席した理由については言及されていなかった.どの研究も,医師または病院を臨時に訪れた回数や治療後の皮膚のプリック試験の結果については報告していなかった.

結論:ハウスダストのダニの抗原による曝露を減少させることを目的とする現在の化学的および物理学的方法は,効果がなく,ダニ感受性の喘息の予防としては推奨できない.


Citation: Hammarquist C, Burr ML, Gotzsche PC. House dust mite control measures in the management of asthma. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:六車浩史/吉村 学)