慢性関節リウマチ(RA):RAにシクロフォスファミド対プラセボ

Rheumatoid Arthritis (RA): Cyclophosphamide Versus Placebo in RA

Suarez-Almazor ME, Belseck E, Shea B, Wells G, Tugwell P

最終更新日:27/05/1998


目的:慢性関節リウマチ(RA)の治療のためのシクロフォスファミドの短期の有効性と毒性を評価すること.

検索方法:MEDLINEとEMBASEを使い,コンピュータ文献検索を行った.またこのコンピュータ文献検索から抽出された文献の引用文献リストからのハンドサーチも行った.

選択基準:RAの患者に対してプラセボ(または薬用量の関係から無効力と考えられる薬)と経口シクロフォスファミドを比較したすべてのランダム化比較試験(RCTs)と比較臨床試験(CCTs).

データ収集と解析:試験の方法論上の質は,Jadadのスコアを使って評価した.慢性関節リウマチの結果測定は,論文からベースラインとエンドポイントを抽出して行った.プール分析は,関節数計算のため,標準平均偏差(standardized mean differences: SMDs)で行われた.加重平均差(WMDs)はESRに使われた.毒性は,離脱症状のための集積オッズ比で評価された.試験間の不均一性を評価するためにカイ二乗検定が使われた.固定効果モデルは,至る所で使われた.

主な結果:合計70人の患者が,プール分析に含まれた.31人がシクロフォスファミドを投与された.関節の腫脹と圧痛については,シクロフォスファミドはプラセボと比較して統計学的に有意に有効であった.SMDsは,それぞれ-0.57と-0.59だった.ESR値の低下についてもシクロフォスファミドはプラセボより有効であったが,これは統計的な有意差にはならなかった(-12mm,95%Cl -26〜2.5) .ある試験は,骨破壊が新たに発生した,もしくは悪化した患者の数を報告している.シクロフォスファミドのプラセボに対するオッズ比は,0.17だった(95%Cl 0.05〜0.57) .プラセボを投与された患者は,シクロフォスファミドを投与された患者に比べ,有効性がないために治療を中断した数が6倍もあった.統計学的に有意ではないが,副作用による脱落はシクロフォスファミドのグループの方が高かった(オッズ比=2.9).シクロフォスファミドの副作用には,出血性膀胱炎,悪心,嘔吐,白血球減少症,血小板減少症,脱毛症,無月経,帯状庖疹感染が含まれる.

結論:シクロフォスファミドは,例えば抗マラリア薬もしくはスルファサラジンのような抗リウマチ薬と同様に,RA患者の病気の活動性に関して臨床的,統計学的に有意な利点を持っているように見える.しかし,その有効性はメトトレキセートよりは低い.またその強い毒性ゆえに,利益-危険比が他の抗リウマチ薬に比べて低くなるため,その利用は制限される.


Citation: Suarez-Almazor ME, Belseck E, Shea B, Wells G, Tugwell P. Rheumatoid Arthritis (RA): Cyclophosphamide Versus Placebo in RA. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:中村和宏/松本正俊)