軟部組織:肩の痛みへの介入のランダム化比較試験のシステマティク・レビュー

Soft Tissue: Systematic review of randomised controlled trials of interventions for shoulder pain

Green S, Buchbinder R, Glazier R, Forbes A

最終更新日:27/05/1998


目的:肩の痛みへの一般的な介入の有効性をレビューする.

検索方法:検索はすべての関連した試験を見つけることを目的とする.検索方法は1966年までさかのぼり,MEDLINE,EMBASE,CINAHL,Science Citation Indexなどのコンピュ-ター検索や,主な教科書,関連した文献の著書目録,見逃した文献,1966年までさかのぼった関連した学術誌の対象インデックスのハンドサーチで構成されている.

選択基準:それぞれの確認された試験は,ブラインドして行う方法に基づき,2人の異なるレビュアーにより採用可能かどうかを評価した.採用決定に必要な因子は次の3項目である.1.その試験が対象となる介入(非ステロイド性抗炎症薬,関節内,又肩峰下への副腎皮質ステロイド注射,経口副腎皮質ステロイド治療,理学療法,麻酔下での操作,hydrodilatation,外科的処置)を含んでいる.2.治療の割付けはランダムである.3.結果の評価はブラインドでされている.

データ収集と解析:方法論上の質の評価は,ブラインドされた2人の別々なレビュアーにより行われた.選択基準や,結果の測定,治療効果に関連したデータはブラインド試験から抽出され,レビューマネージャーに登録された.

動作範囲スコアは動作制限の程度として登録され,全痛みや全効果のスコアは100ポイントスケールに変換された.

結果測定に一貫性をもたせるために,標準偏差が報告されていない場合は,生データから計算するか,又は平均の標準誤差から変換した.このどちらも報告されていなかった場合,欠測値を得るために著者に連絡をとった.

もし,それらの試験の規模やエンドポイントや介入が比較可能であった場合,効果サイズが集積分析で計算,統合される.

主な結果:31の試験が採用基準を満たした.方法論上の質のスコアは平均スコアが16.8点(9.5-22)であった.このスコアは40点満点である.選択基準は同じ診断名の場合でさえ大きく異なっていた.使われた結果測定には均一性はなく,それらの測定性質はほとんど報告されていなかった.個々の試験の効果サイズは小さかった(-1.4-3.0).回旋筋腱板腱鞘炎については3つの試験の結果だけが,プール可能であった.上腕の外転範囲改善については,フラセボと比較した場合,肩峰下副腎皮質ホルモン注射が有効であった(加重平均差(WDM)で35-, 95%CI 14-55).これが有効性のはっきりした唯一の結果である.

結論:肩の痛みについては,一般的な介入の有効性を支持したり否定したりする証拠はほとんどない.肩の疾患に関して,よりすぐれたデザインの臨床試験を行う必要がある.それと同時に,より多くの臨床試験を行い,肩の疾患の定義方法や結果測定の方法を均一化して,これらをその試験規模に見合った有効で信頼できるものにしていく必要がある.


Citation: Green S, Buchbinder R, Glazier R, Forbes A. Soft Tissue: Systematic review of randomised controlled trials of interventions for shoulder pain. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:田中恵美子/松本正俊)