妊娠中のルーチンな鉄と葉酸の補充

Routine iron and folate supplementation in pregnancy

Mahomed K

最終更新日:25/08/1997


目的:事前の血液学的,生化学的結果と,妊娠についての独立した基準を用いて,ルーチンな鉄と葉酸の補充の効果を評価すること.

検索方法:検索方法はコクラン妊娠と出産グループによって開発された.

選択基準:妊娠中の女性に対するルーチンな鉄と葉酸の補充の役割を評価した,容認しうる比較試験すべてを適格とした.

データ収集と解析:関連する臨床試験からのデータが使われた.不明な点は必ず主要な著者に照会した.

主な結果:ルーチンな鉄と葉酸の補充によって,血清鉄,フェリチンレベル,そして血清と赤血球の葉酸レベルが上昇もしくは維持され,妊娠後期にヘモグロビンレベルが10-10.5g以下である女性の割合を実質的に減少させた.

しかし,ルーチンな鉄と葉酸の補充が,母体あるいは胎児の状態の独立した基準に対して効果があるという結果は検出できなかった.

結論:比較試験から得られた利用可能なデータは,ルーチンの鉄と葉酸の補充が,出産時の低ヘモグロビン血症の予防において確実な効果があることを明確に立証している.しかし,母体もしくは新生児の臨床的効果において有益であるかどうか,という効果の点での情報はほとんどない.

従って,妊娠中のルーチンな鉄と葉酸の補充という治療法に,肯定もしくは否定するための勧告となる強力なエビデンスはない.

鉄欠乏が多発する,或いは臨床上重大な問題として貧血をとりあげた地域から得られたデータはほとんどない.鉄欠乏にもっとも適切な予防法や治療法を確立するためには,このような母集団に対して臨床試験を行う必要がある.そして,このような研究は母体と胎児の結果への重大な影響を検出するために十分に大規模であるべきだ.


Citation: Mahomed K. Routine iron and folate supplementation in pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:中村和宏/岡田慶子、岡田 隆)