多嚢胞性卵巣症候群:無排卵の多嚢胞性卵巣症候群患者の排卵誘発のための腹腔鏡下の焼灼またはレーザーによる穿孔

Polycystic ovary syndrome: laparoscopic "drilling" by diathermy or laser for ovulation induction in patients with anovulatory polycystic ovarian syndrome

Farquhar C, Vandekerckhove P, Arnot M, Lilford R

最終更新日:01/05/1998


目的:無排卵(排卵失敗)で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の不妊患者の排卵誘発のための腹腔鏡下卵巣穿孔の有用性を決定すること

検索方法:コクラン月経異常疾患と生殖能力低下グループの調査方法がランダム化比較試験(RCTS)の同定に用いられた.コンピュータ化したMEDLINEの検索が非ランダム化比較試験の同定に用いられた.

選択基準:PCOSの不妊の婦人に排卵誘発のために腹腔鏡下卵巣穿孔の治療をおこない,同時にコントロール群と比較していれば,その試験は組み込みの候補とした.

データ収集と解析:12試験が同定された.7試験がこのレビューに組み込まれ,その中5試験はランダム化試験であった.すべての試験は質に関する基準によって評価された.研究の主な結果は排卵率と妊娠率であった.流産率,多胎率,過剰刺激の発生率,卵巣過剰刺激症候群の率は二次的な結果とした.

主な結果:研究された方法はどれも差は見られなかったが,腹腔鏡下卵巣穿孔がゴナドトロピン治療に比べて有用であると結論を出すには,この時点でのランダム化比較試験の患者数は不十分である.

結論:無排卵(排卵失敗)で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の不妊患者の初期治療としての腹腔鏡下卵巣穿孔は有用性は認められなかった.クロミフェンで排卵しない婦人の次の治療としてゴナドトロピンと比べて排卵や妊娠率に差があるか否かの十分なエビデンスはない.研究された卵巣穿孔のどの方法においても明らかな有益性はなかった.


Citation: Farquhar C, Vandekerckhove P, Arnot M, Lilford R. Polycystic ovary syndrome: laparoscopic "drilling" by diathermy or laser for ovulation induction in patients with anovulatory polycystic ovarian syndrome. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:直江正保/佐藤孝道)