禁煙のための自助介入

Self-help interventions for smoking cessation

Lancaster T, Stead LF

最終更新日:26/08/1998


目的:自助材料は,治療専門家やカウンセラーへの集中的な接触なしにタバコを止めようとしている喫煙者に対して,行動方法を提示する.自助材料にはいろいろなものがあるが,喫煙による作用を理解する,中止を試みる,再喫煙を回避する方法を含んでいる.大抵一般的には,自助材料は読み物であるが,オーディオ,ビデオ,コンピュータなど他の媒体でも入手可能となってきている.自助材料は,特定の喫煙者のグループのために作られたり,個々の喫煙者の特性を考慮にいれて個人用のものとなるかも知れない.

このレビューは,異なる形式の自助材料の有効性に対するエビデンスを要約している.レビューは,自助材料と無治療,自助材料と最小限の他の接触方法を比較した有効性を調べる.また,電話による接触などと自助材料が同時に用いられた場合の付加的な効果があるかどうかについても検討している.

検索方法:コクランタバコ嗜癖グループの比較臨床試験特別レジスターと以前のレビューが,最小限の接触による試験,自助介入試験,何らかの小冊子,パンフレット,手引書の使用に触れている試験を同定するために用いられた.

選択基準:研究は,少なくとも6ヵ月間追跡されたランダム化比較試験でなければならなかった.組込まれた研究の用件の1つとして少なくとも,治療専門家との頻回の面接がない群として成り立っていなければならなかった.自助材料は,喫煙者が助けなしで喫煙を諦めるようになる,構造化された行動戦略を提供する必要があった.主に喫煙の健康への影響についての情報を与えるための小冊子は除外された.

データ収集と解析:二人の著者がデータを抽出した.自助材料と対照を比較した試験は,面接の回数に従って対照群に印字情報の有無にかかわらず,実験群と対照群にそれぞれグループ化された.それぞれの比較に対して,集積オッズ比と95%信頼区間がピートの方法を用いて計算された.

主な結果:41試験が同定された.25試験では,自助材料と無介入または助言の補助材として試験済みの材料が比較されていた.7試験では自助行為が無介入と比較されており,ちょうどの統計学的有意差を持って集積効果があった(OR 1.23, 95%CI 1.01-1.51).短期間の治療専門家との接触と比較して,自助材料によるさらなる利益はなかった.他の試験では,自助のための他の材料か補助材と比較されていた.個々の喫煙者の特徴に合わせて作成された材料を用いた6つの試験でエビデンスがあり,このような個人用の材料は,標準の材料と比較してより有効であった(OR 1.51, 95%CI 1.13-2.02).カウンセラーからの電話による経過観察の追加もまた,喫煙の中止を増加させているようである(OR 1.62, 95%CI 1.33-1.97).ホットラインによる接続を提供した1つの試験でも,また効果が示されている.

結論:分かりやすく構成された情報にアクセスすることは,他の種類の医学上の問題に対する場合と同様,喫煙している個人にとって重要である.このレビューは,簡単な情報に対して,構造化された禁煙への接近方法を提供することを目的とした材料の明白な効果を考察した.このような材料は,無介入と比較して非常に小さな喫煙中止を増加させるかも知れない.自助材料が,ヘルスケア専門家からの助言という最小限の介入またはニコチン置換療法を越えるような利益の増大を作り出す,というエビデンスはない.個々の喫煙者のために個人用に作られた材料がより効果的であるという,限られたエビデンスがある.


Citation: Lancaster T, Stead LF. Self-help interventions for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/石川鎮清)