成人の喘息の患者教育と定期的な医療従事者の経過観察の効果

The effects of self-management education and regular practitioner review in adults with asthma

Gibson PG, Coughlan J, Wilson AJ, Abramson M, Bauman A, Hensley MJ, Walters EH

最終更新日:29/05/1998


目的:患者教育による自己処置もしくは医療従事者の経過観察が,成人喘息におけるコントロールの状態を改善するかどうかを論文のシステマティック・レビューにより検証すること.

検索方法:研究は後述の情報源から検索された;

コクラン気道グループの比較臨床試験特別レジスタは,MEDLINE,EMBASE,CINAHL,呼吸器の医学雑誌のハンドサーチ,学会の抄録からなされた.後述の語句によって検索後登録された.(Asthma OR wheeze)* AND (education* OR self management OR self-management).これら論文が得られた後,その参考文献リストがハンドサーチされ,論文リストに加えられた.

選択基準:上記研究は2人のレビューアーによって別々に評価された.成人喘息における健康状態に対する自己処置の影響についてのランダム化比較試験(RCTs)が登録された.

データ収集と解析:2人のレビューアーによって,独立して研究の質は評価,検討された.解析方法やデータについて著者に確認された.

各々研究は喘息教育の介入方法によってグループ分けされ分析された.

1)一般的総説 (治療プログラムの一部又は治療プログラムによるアドバイスとして)

2)自己モニタリング(ピークフロー -PEF- もしくは症状)

3)喘息重症度に基づいた,どのようなタイミングでどのような治療を適応するかを記載した個々人毎の治療計画

4)上記すべてを含む最適の自己処置

主な結果:自己処置についての喘息教育は22のRCTで解析されていた.20の研究は自己処置教育と通常のケアを比較した.自己処置は入院を減少させた(オッズ比,OR 0.59),定期受診以外の医療機関の受診(OR 0.57),仕事の欠勤もしくは学校の欠席(OR 0.55),そして夜間喘息(OR 0.53). PEFでも有意な改善は見られた[SMD -0.13(-0.26,-0.01)].救急外来の受診やFEV1では有意な改善はみられなかった.サブグループ分析では,個々人毎の治療計画を含まない治療よりは最も適した自己処置のほうがより多くの臨床上有意義な効果が得られた.

ピーク呼吸フローに基づく自己処置と症状に応じた自己処置とを比較した2つの研究ではこれらの治療間で有意な差は認められなかった.

個々人毎の治療計画書に基づく自己処置と,医師によって肺機能データ(FEV1とPEF)によって適応された治療とは5つの研究によって比較されていたが,自己調節の群において有意に優れた結果が得られた.

結論:PEFや症状の自己評価,一般的な医学レビューや治療計画書を含む喘息の自己調節教育は,喘息のコントロールの状態を改善する。これらの適応によって,症状の著明な改善が認められる.活動計画書に基づいて治療薬の自己調節を行う喘息教育は,自己調節を行わない患者教育に比べて有効である.


Citation: Gibson PG, Coughlan J, Wilson AJ, Abramson M, Bauman A, Hensley MJ, Walters EH. The effects of self-management education and regular practitioner review in adults with asthma. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:岡田 隆/)