喘息におけるカフェインの気管支拡張効果

The bronchodilator effect of caffeine in asthma

Bara AI, Barley EA

最終更新日:22/02/1998


目的:肺機能に対するカフェインの全般的な効力を評価し,かつ肺機能テストの前にカフェインの消費をコントロールする必要があるかどうかを検証する.

検索方法:調査は,喘息とぜん鳴に関するコクラン気道グループの比較臨床試験特別レジスタのランダム化比較試験のなかから選び出された.それぞれのRCTについて参考文献の検索が行われ,他の試験が行われていないか調べられた.他の発表,未発表の研究についてそれぞれのランダム化比較試験の著者に連絡が取られた.

選択基準:文献検索の結果,39の文献が得られ,2人のレビュアーにより別々に評価された.少しでも関連のありそうな試験について全文を入手した.これらの中で6つの文献がこのレビューの包含基準に合った.

データ収集と解析:データは二人のレビュアーによって独立して抜粋された.肺機能の測定は異なる時間に行われ異なる薬用量のカフェインを内服した後に行われていたので,それぞれのアウトカムに対するデータは次のような3つの時間背景によってグループ分けされた.すなわち2時間以内のショートと,2時間以上4時間以内のミディアム,4時間以上のロングにわけられた.分析は全てのカフェイン用量による割付けと中央値の薬用量によって分けられた2つのサブグループによる分析が行われた.すなわち,低用量とは5mg/kg以下のカフェイン用量とし,高用量とは5mg/kg以上のカフェイン用量とした.

 

主な結果:たとえ低用量であってもカフェイン摂取後2時間はプラセボと比較してFEV1,FEF25-75やSpecific Lung Conductanceによって測定すると,有意に肺機能は改善していた.この効果はFEF25-75では4時間以上持続した.FEV1でもこの時間まで改善がみられたが,この効果は統計学的有意差は得られなかった.Specific Lung Conductanceについては2時間以上のデータは得られなかった.

結論:肺機能検査の前少なくとも4時間はカフェインを差し控えるように患者にアドバイスすることをすすめる.本質的な患者の利益と臨床的な意味はまだ全く調査されていない.カフェインは適量によって4時間までは喘息患者の気道機能を改善する.


Citation: Bara AI, Barley EA. The bronchodilator effect of caffeine in asthma. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:横田恭子/岡田洋平)