目的:成人の閉塞性睡眠時無呼吸の治療における持続陽圧の現在の効果および効力を再検討する.検索方法:研究は引用文を細かく調べたり,専門家に相談したり,1966年から1996年のMEDLINE,1974年から1996年のEMBASEと,1982年から1995年のCINAHLの調査により確認された.成人での閉塞性睡眠時無呼吸の治療における持続陽圧の効果を評価する全てのランダム化比較試験は言語に関係なく考慮した.
選択基準:睡眠時無呼吸やAHIが5/h以上の夜間の持続陽圧とプラセボもしくは積極的治療をしていると比較している成人のランダム化試験.全ての臨床の概要の尺度は考慮された.
データ収集と解析:データは二人のレビュアーによって独立に抜粋された.見つからないデータは著者から入手した.データはコクランReview Manager3.0を使用して分析した.
主な結果:7つのランダム化試験が確認されただけであり,全ては方法論的デザインに弱点を持っている.3つの試験は持続陽圧を経口薬投与群のプラセボと比較していた.1つの試験は持続陽圧を保存的治療と比較していた.3つの試験は持続陽圧を口部の器具と比較していた.1つの例外を除いて全ての試験はクロスオーバーデザインであった.評価はそれぞれの治療期間の最後になされていた.プラセボと比較して持続陽圧での患者の治療は生存の質や憂鬱を改善するのに効果的であった.すなわちNottingham Health Profileは2得点(WMD=-2.7,95%CI:-4.7,-0.6),General Health Questionnare(GHQ)は28(WMD=-2.8,95%CI:-4.5,-1.0),そしてHospital Anxiety and Depression Scaleでの憂鬱度評価(WMD=-1.8,95%CI:-3.2,-0.4).患者は内服プラセボより持続陽圧による治療を好んだ(OR=0.4,95%CI:0.2-0.8).血圧とか眠気には有意な効果は示さなかった.
口部の器具に比較して,眠気とか睡眠の質には違いはなかったが,試験はAHIや睡眠中の最低のSaO2に関して持続陽圧で明らかな改善を示した(WMD=-7.3,95%CI:-10.0,-4.7).持続陽圧による改善にもかかわらず患者らは強く口部の器具のほうを好んだ(OR=9.5,95%CI:21.1).
結論:閉塞性睡眠時無呼吸の患者に持続陽圧はプラセボよりいくつかの生活の質(QOL)の尺度を改善するのに効果的である.加えて,持続陽圧は口部装置より呼吸妨害の改善により効果的である.患者らは持続陽圧より口部器具を好み,プラセボよりは持続陽圧を好む.しかしながら,将来の研究はより強い方法論を持つべきである.そのうえさらに,持続陽圧の効果の大きさに対する臨床的印象と研究で示された有益性との間の相違は,確認される必要があるより多くの反応する臨床的アウトカムを暗示している.さらに,研究は患者が持続陽圧を用いる事によってどれくらいの利益を得るか確認するべきである.
Citation: Wright J, White J. The effectiveness of continuous positive airways pressure for the treatment of obstructive sleep apnoea. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:横田恭子/大島信治)