慢性関節リウマチ(RA):慢性関節リウマチに対するシクロスポリンのメタ・アナリシス

Rheumatoid Arthritis (RA) : A Meta-Analysis of Cyclosporine in Rheumatoid Arthritis

Wells G, Haguenauer D, Shea B, Suarez-Almazor ME, Welch VA, Tugwell P

最終更新日:24/02/1998


目的:シクロスポリンの効果の短期間における有益性と危険性を評価する.

検索方法:電子的文献検索はコクラン共同研究(1994年Dickerら)によって開発された検索方法を用いて,1966年から1997年までのMEDLINEを用いてなされた.電子的文献検索で検索された試験の参考文献リストから文献を探すことによって検索はより広く集められた.今後公表される予定もしくは公表されていないさらなる論文を得るためにその分野の専門家で重要な人と会った.

選択基準:慢性関節リウマチの患者に対するプラセボとシクロスポリンを比較したすべてのランダム化比較試験と比較臨床試験.

データ収集と解析:2人のレビュアーが包含・除外の判定基準にのっとって各々の研究を含めるかどうか決定した.データは2人のレビュアーによって個々に要約され,コクランの筋骨格グループのサブグループである慢性関節リウマチグループにおいて先につくられたフォームを用いて3番目のレビュアーによってチェックされた.ランダム化比較試験と比較臨床試験の方法論的な質は2人のレビュアーが分析した.慢性関節リウマチのアウトカムの評価は,公表されたデータから抽出した各評価項目のベースラインからの変化を用いた.腫張関節数,医師の総合的評価,患者の総合的評価,赤血球沈降速度などの十分なデータが得られ,解析データに含められた.

主な結果:圧痛を伴った腫張関節数においてプラセボと比較してシクロスポリンの方に統計学上有意な減少が見られた.腫張関節数の変化の標準平均差は-0.969であった.痛みや機能指数の項目においてもシクロスポリンの方に有意な改善が見られた.プラセボ群に比較してシクロスポリン群においてより多くの副作用が発生した.

結論:シクロスポリンは進行性関節リウマチの患者に対する短期間の治療において重要な臨床的有用性がある.


Citation: Wells G, Haguenauer D, Shea B, Suarez-Almazor ME, Welch VA, Tugwell P. Rheumatoid Arthritis (RA) : A Meta-Analysis of Cyclosporine in Rheumatoid Arthritis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福田泰代/糸矢宏志,高屋敷明由美)