ジゴキシンによる呼吸促迫症候群の予防と治療

Digoxin in the prevention or treatment of respiratory distress syndrome

Soll RF

最終更新日:29/01/1998


目的:呼吸促迫症候群(RDS)の危険に瀕しているか,またはRDSである新生児の臨床的な結果について,ジゴキシンの効果を評価すること.

検索方法:周産期試験のオックスフォード・データベース,MEDLINE(MeSH語:digoxin; 制限: age groupをnew borninfants; publication typeをclinical trial),参照を含めた以前のレビュー,抄録,学会の議事録,専門家の情報,主に英語の手作業で調べた雑誌を調査した.

選択基準:ジゴキシンによる呼吸促迫症候群の予防と治療に対するランダム化比較試験がこのレビューに組み込まれた.

データ収集と解析:臨床結果についてのデータは,レビュアーによって試験の報告から抽出した.データはコクラン新生児レビューグループの基準に従って解析された.

主な結果:呼吸促迫症候群の予防と治療についてのジゴキシンの効果を研究したランダム化比較試験が2つあった.呼吸状態や死亡率の向上は認めなかった.死亡率に関して,RDSの危険があるか,実際にRDSである新生児にジゴキシンを投与することの効果のメタ・アナリシスは,ジゴキシン治療の有用性を示唆しなかった(定型的相対危険度1.27 95%CI 0.78, 2.07; 定型的危険度差 0.06, 95%CI -0.03,0.17).

結論:呼吸促迫症候群の全般的な病因に血行動態障害は関与しているけれども,早期の鬱血性心不全(血行動態的に重要な動脈管開存と関係のないもの)の特別な関与がRDSの重要な因子ではないようである.呼吸促迫症候群にのみなった新生児において,ジゴキシン治療の有用性は見られなかった.


Citation: Soll RF. Digoxin in the prevention or treatment of respiratory distress syndrome. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:野崎香織/佐藤孝道)