痛い処置をうける新生児に対するショ糖

Sucrose in neonates undergoing painful procedures

Stevens B, Ohlsson A

最終更新日:05/02/1998


目的:ショ糖によって軽減した処置痛を生理的な,かつ/または行動的指標により評価し,ショ糖の有用性,有効量,安全性を決定すること.

検索方法:コクラン新生児レビューグループに従った標準的な方法.MEDLINE調査は,1966年1月-1997年11月1日までに出版された関連したランダム化比較試験に対して行われた; EMBASEは1993-1997年から; 1997年11月11日における参照最新情報調査; 1997年11月11日におけるコクラン・ライブラリー第4版の調査.キーワードと(MeSH)語は,infant/newborn,pain,analgesiaとsucroseを含んだ.個人的なファイル,著書目録,最も最近の関連した新生児や疼痛についての雑誌,学会の抄録は,手作業で検索された.未出版の研究は含めなかった.言語の制限はされなかった.

選択基準:踵穿刺,静脈穿刺,筋肉注射(免疫接種)をうける正期産かつ/または早期産児が,ショ糖または水/プラセボまたは無治療をうけたランダム化比較試験.

データ収集と解析:試験の質は,新生児共同研究レビューグループの方法に従って評価された.質の評価には以下が含まれた:ランダム化の盲検,介入方法の盲検,経過観察の完全性,結果の測定の盲検.データは2人の研究者によって抽出され,別々に精度を検査した.結果の評価の不一致や結果の統計学的報告における差はメタ・アナリシス不可とした.痛み刺激(踵穿刺,静脈穿刺,筋肉注射)後に,同じ生理的かつ/または行動的結果を測定し,平均と標準偏差(または標準誤差)を使った同一の方法で報告している研究を2研究見つけられなかった.そのため,結果については受け入れた個々の研究を別々に報告する.

主な結果:この系統的レビューに組み込めえる研究は15研究認められた.

5研究が以下のために除外された:治療群とプラセボ群をランダム化した新生児数が報告されていないため3つのランダム化比較試験が除外された.1研究はランダム化比較試験でなかった.そして1ランダム化比較試験は新生児に疼痛処置がされていなかった.

このレビューには10個のランダム化比較試験が組み込まれた.

広い範囲の量でショ糖により,踵穿刺や静脈穿刺をされた新生児の単変量の生理的な(心拍数)または行動的な(泣いている時間の平均パーセント,全体の泣いている時間,最初に泣くまでの時間,顔面の動作)疼痛の指標や,多変量[未熟児疼痛プロフィール(PIPP)]の疼痛の指標が一般的に低下した.

この系統的レビューでは,早期産児または正期産児における,処置に関係する疼痛の軽減に最適のショ糖量は同定されなかった.

結論:ショ糖は,処置による疼痛刺激(踵穿刺,静脈穿刺,免疫注射)後の新生児のストレス/疼痛の生理的かつ/または行動的指標を減少させる.有効なショ糖量は一致せず,早期産かつ/または正期産児に使われる至適のショ糖量は同定できなかった.

今後の研究で考慮に入れることとしては,詳細に疼痛処置や方法を記載すること,統計学的に有意に疼痛を軽減することを示せるに適当なサンプルサイズにすること,疼痛の多次元概念を使うこと,信頼でき,妥当な疼痛の指標を結果の評価に選ぶこと,新生児の反応や疼痛をうけた環境の差異を説明することである.新生児のショ糖の反復投与について研究する必要がある.超低出生体重の状態が不安定かつ/または人工換気されている新生児へのショ糖の使用もまた述べられる必要がある.結果の詳細な報告や同一の結果を含んだ方法論的に質の最も高い研究を反復することで,メタ・アナリシスを使って結果を結合することができるであろう.


Citation: Stevens B, Ohlsson A. Sucrose in neonates undergoing painful procedures. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:池田扶実子/佐藤孝道)