分娩中の胎児仮死に対するピラセタム

Piracetam for fetal distress in labour

Hofmeyr GJ

最終更新日:08/11/1997


目的:最も有用なエビデンスから,分娩時の胎児仮死疑いに対して行うピラセタムの治療の,分娩方法や周産期罹患率に関しての影響を決定すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持更新された臨床試験のレジスター.コクラン比較臨床試験レジスターの定期的調査.

選択基準:組み込み基準は以下の通りであった:分娩時の胎児仮死疑いに対して,コントロール群とピラセタムの治療の効果を比較した臨床試験.適切な盲検での治療群とコントロール群とのランダム割付け.割付けの管理違反は結果に実質的に影響を与えないこと.臨床的に意味のある結果の測定が報告されていること.観察者のバイアスが最小であるような正当な測定.プロトコール違反を除外しても,ランダム割付けに従った分析として有用なデータ.データの欠失は結果に実質的に影響を与えないこと.分析に適した形の有用なデータ.

データ収集と解析: 考慮中の試験について方法論的質や組み込みの適性を,結果を考えずに評価した.組み込まれた試験データは,以下に記述されたように,処理された: Mulrow CD, Oxman AD(編集者),コクラン共同研究ハンドブック[1997年3月1日更新]: コクランライブラリ[diskとCDROMのデータベース],コクラン共同研究.Oxford: Update Software: 1996年-.更新年4回.
主な結果:ピラセタムの治療は,帝王切開の必要を減少し(相対危険度(RR)0.57, 95%信頼区間(CI)0.32-1.03),新生児の呼吸問題と低酸素の徴候によって判断された新生児結果を向上する(RR0.09, 95%CI 0.01-1.60)傾向と関連した.アブガスコアの結果は,大きな利点から小さな副作用まで全てに矛盾しない.

結論:分娩時の胎児仮死に対するピラセタムの使用を支持する充分なエビデンスはない.知る限りでは,ランダム化試験は1つしかないので,この治療のさらなる試験を行う余地がある.


Citation: Hofmeyr GJ. Piracetam for fetal distress in labour. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/佐藤孝道)