神経管欠損防止に対する葉酸かつ/またはマルチビタミンの受胎前後の摂取

Periconceptional supplementation with folate and/or multivitamins to prevent neural tube defects

Lumley J, Watson L, Watson M, Bower C

最終更新日:24/08/1998


目的:最初の目的は,妊娠前や妊娠2ヶ月までの間にマルチビタミンや葉酸の消費が増加により神経管欠損の羅患率が減少するかどうかを明らかにすることである.

他の目的

1.他の欠損の出生への影響が,同じ介入により減少させることが出来るかを明らかにすること

2.同じ介入が,妊孕率や胎児の生存率を変化させるかを明らかにすること

3.マルチビタミンや葉酸の受胎前後の消費の増加でのストラテジーを比較すること

このレビューは,妊娠中の栄養学上のアドバイスやカウンセリングや摂取については示さないだろう.

検索方法:このレビューは、総括的にコクラン妊娠と出産グループのために開発された検索方法で行われた.関連性のある試験は,同グループの比較臨床試験特別レジスターから同定された.ハンガリー語で書かれた試験もまた,英語の雑誌で出版されているので,すべての言語が対象となっている.

選択基準:すでに出産したことのある妊娠を計画している女性は,妊娠の結果が誕生かそうでなかったかのいずれにしろ,神経管欠損の胎児を妊娠したことに気づく.

・以前の妊娠がうまくいかなかった人や経験のない人が妊娠を計画している女性

・知識や態度,行動を変えるストラテジーの試験の中で,Helth Practitioners

・知識や態度,行動を変えるストラテジーの試験の出産年齢の女性および他の人々のサンプル

試験は,それらがマルチビタミンとプラセボ,葉酸とプラセボ,またはマルチビタミンと葉酸の受胎前後の摂取の比較を行ったもの;マルチビタミンか葉酸の,異なる投与量の比較を行ったもの;プライマリーケアのセッティングにおいて標準ケアと共に葉酸の豊富な食べ物や,葉酸を補強した食べ物の消費を増加する妊娠前の食事のアドバイスやカウンセリングの比較を行ったもの;また,標準的な大衆への健康の広報と共に一般の開業医,薬剤師,コミュニティーへの供給情報の強化/マーケティングストラティジーの増加を比較したものを含んだ.

第一のアウトカムは,神経管欠損の発生や再発である.他の妊娠や周産期のアウトカムや,他の出生の欠損もまた分析された.

データ収集と解析:データは,二人のレヴゥアー(L.WatsonとM.Watson)によりそれぞれ独自に抽出された.

主な結果:受胎前後の葉酸摂取は実質上(OR 0.28, 95%CI 0.15,0.53)で神経管欠損の発生率を減少させる.減少は,欠損の発生(母親は以前に胎児や乳児を持ったことがない場合)(OR 0.13, 95%CI 0.03,0.65),そして,再発性の欠損(母親はすでに乳児を産んだことがある場合)(OR 0.32, 95%CI 0.16,0.64)と同様であった.

葉酸摂取は,受胎において,少しだけだが,しかし,統計的に有意な増加(OR 1.12, 95%CI 1.03,1.22)で関連づけられた.自然流産(OR 1.14, 95%CI 0.98,1.32),子宮外妊娠OR 1.14(95%CI 0.49,2.63)や死産(OR 0.75, 95%CI 0.36,1.56)のどんな統計上意義のある増加から見ても葉酸摂取の不利な結果は,認められなかった.ある試験〔Czeizel 1992〕での,初期での摂取ザブグループの女性は,妊娠の最初の3ヶ月での,眩暈,吐き気,嘔吐の発生が少なかった(OR 0.46, 95%CI 0.26,0.79).

関連のある,ひとつの不利な結果が,多胎妊娠の増加の可能性がある.このレビューでは,(OR 1.40, 95%CI 0.90,2.17)で統計上有意ではなかったが,しかしすべての試験のすべてのデータをまだ十分に利用できていない.多胎妊娠の増加のいくつかは,明らかに摂取と関連したリスクと利益を変更することができた.

これらの試験では,神経管欠損の予防というだけでもマルチビタミンの統計上意義のある結果は明らかにならなかったし,マルチビタミンを葉酸と一緒に与えた場合も,付加的な予防の結果とはならなかった.

広報についての試験は,調査中に確認できなかった.

結論:妊娠中に神経管欠損と診断された胎児を持っていたり,神経管欠損で生まれてきた幼児を持っているすべての女性は,次の妊娠での再発の危険について情報を与えられ,妊娠前の葉酸摂取に予防効果があることをアドバイスされ,そして摂取し続けること(4μg/day)を提案される必要がある.

女性に対する避妊の供給を含むすべてのヘルスコンタクトは,葉酸の豊富な食事の予防効果やこれがどのようにして成し遂げられるかについての情報を気づかせたり,妊娠2ヶ月前からスタートする必要はあることを気づかせる機会を提案する.葉酸の豊富な食事の予防効果についての情報は,中学校レベルの栄養と健康の教育の中に,含ませる必要がある.神経管欠損の予防を最大にする適切な葉酸の量が,葉酸の豊富な食事に対して食べ物の消費のパターンを変化する情報により,防御できるかどうかは,まだ明らかでない.小麦粉のようなベーシックな食材に葉酸を加えて補強する利益とリスクは,未解決のままである.

研究への示唆

新しい試験で優先されることは,その結果が効果的である葉酸摂取の予防効果についての情報普及のスタディであり,費用効果のあるストラテジーも含むことが出来る.神経管欠損や他の出生時の欠損の関係で,葉酸の予防効果を確認するための新しい第一の予防の試験は-必要とされる最小量の投与量について不明な疑問点が明らかにされてさえ-エビデンスの存在の効果という理由においてはほとんど成し遂げられないように見える.ランダム化試験中での,ランダム化試験ではない研究デザインからの情報(コホート研究やケース・コントロール研究)とともに,ケース・コントロール研究やコホート研究の中で,確認された一貫性のある効果は,多胎妊娠のような葉酸投与の副作用の可能性や,他の出生時の欠損の防止や予防的な摂取についての情報を確認されなければならないだろう.

中年の冠動脈疾患の予防における葉酸摂取の効果を計るための試験は,そのいくつかは既に進行中であるが,成人の男女での葉酸摂取の増加の,可能性のある効果を明らかにすることを期待されている.これらの結果は,ベーシックな食品の成分補強とリスクと利益についての決定に貢献するだろう.


Citation: Lumley J, Watson L, Watson M, Bower C. Periconceptional supplementation with folate and/or multivitamins to prevent neural tube defects. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/石川鎮清)