妊娠中に実行した休煙計画

Smoking cessation programs implemented during pregnancy

Lumley J, Oliver S, Waters E

最終更新日:25/05/1998


目的:妊娠中に実行した休煙計画の有効性を評価し,これらの計画の胎児や乳児への健康への影響や,母体やその家族への影響を評価する.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループの検索方法により,ランダム化試験または準ランダム化試験を確認し,コクランタバコ嗜癖グループの検索方法により補充した.

選択基準:妊娠中に施行された喫煙の休止増進目的の臨床試験.

データ収集と解析:2人(S OliverとJ Lumley or E WatersとJ Lumley)による事前に決定した判断基準によりデータを抽出した.合計40の試験が1975〜1997年に実施され,本レビューには母集団として9,000人以上の女性が含まれている.追加研究としてのcluster randamized trialでは3,000以上の女性のデータが加わった.これらの計画で行われた共通の介入は,胎児や乳児に対する喫煙の危険性や禁煙の利点に関する情報の提供や,禁煙療法の奨励や,胎児へのフィードバックである.そして,喫煙を止めるための認識−行動様式を教えることなどである.妊娠の期間中を通して,介入の程度や,通告や再通告の強化の程度においては実質的な差があった.調査対象は,健康な妊婦,病院や公のマタニティークリニックに通院中を原則としている.主要な評価基準は,妊娠後期の喫煙の継続である.8つの試験により,胎児への影響結果を示している.平均出生体重や低体重児や早産や出生時死亡率である.

主な結果:30の試験により集まったデータは,介入群で妊娠後期に喫煙を続けたオッズ比に有意な減少を明らかにした(オッズ比(OR) 0.51, 95%信頼区間(CI) 0.45-0.58).これは,喫煙を続けた群における絶対差6.6%に等しい.この結果は,分析が生化学的に確証されている17の試験に制限した喫煙の休止を行った場合と類似する(OR 0.49, 95%CI 0.42-0.58 ,喫煙を継続した群との絶対差は7.2%である).

11の試験では,介入の強度が高い(OR 0.50, 95%CI 0.42-0.59 ,喫煙を継続した8.6%との絶対的な違いである).12の試験では介入への高い質のスコアがある.理論的な基礎や,介入の強度や,介入の詳細な記述や過程の評価,確証された喫煙の休止の割合である(OR 0.47, 95%CI 0.40-0.56 ,8.9%の喫煙を継続したものとの絶対的な違いである).禁煙や介入の強度や質の高いスコアが確証された6の試験はOR 0.47, 95%CI 0.38-0.57 で喫煙を継続した9.2%との絶対差をプールしている.胎児への影響の情報がある試験のサブセットは低出生体重児の減少(集積オッズ比 0.80, 95%CI 0.67-0.97)は見られたが,早産の顕著な減少は認められなかった(集積オッズ比 0.82, 95%CI 0.66-1.01). また,平均出生時体重の41gの増加(95%CI 16.6-65.5)が認められた.しかし,超低体重児や死産,新生児死亡や全出生児死亡率に変化は認められなかった.出産前の最初の受診で喫煙をやめた女性における喫煙の再開予防に関する3つの試験では,OR 0.73, 95%CI 0.45-1.18で妊娠後期の喫煙では5.5%の絶対差がある.1つの大規模な集団ランダム化試験によると,喫煙の継続が減少する証拠は示されなかった.妊娠後期の喫煙休止における調整ORは,1.0で95%CIは.69と1.6であった.このtrialにおいて介入や医療行為では調整平均体重に差はなかった.過程の評価により,この試験の実行においていくつかの問題を確認した.

結論:妊娠中に実行された喫煙の休止計画は喫煙の休止を増加し,平均体重児のわずかな増加や,低体重や早産のわずかな減少を導いた.手術による分娩や母乳食,母親の心理学的健康や他の家族の健康に対する介入の評価についての報告はまだされていない.


Citation: Lumley J, Oliver S, Waters E. Smoking cessation programs implemented during pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:田中恵美子/岡田慶子、岡田 隆)