コミュニティ設定における老人を対象とした視覚障害スクリーニング

Screening older people for visual impairment in a community setting

Smeeth L, Iliffe S

最終更新日:29/07/1998


目的:多因子のスクリーニングの一部として,あるいは,単独のスクリーニングとして,コミュニティ設定での老人を対象とした視覚障害の集団検診が視覚改善に有効であるかどうかを決定する.

検索方法:試験は,MEDLINE,EMBASE,コクラン眼と視覚グループの比較臨床試験特別レジスター,コクラン比較臨床試験レジスターから選ばれた.選ばれた試験の参考文献リストとレビュー論文が,さらなる試験を見つけるために検索された.選ばれた試験を引用した研究を見つけるために,SCISEARCHが使用された.さらに発表された試験や未発表の試験を見つけるために,研究者に接触した.

選択基準:コミュニティ設定での65才以上の人々を,特別な危険因子で選択することなく対象とした,視覚の,あるいは,多因子のスクリーニングについての全てのランダム化比較試験.視覚障害のスクリーニング,視覚障害者についての紹介や介入,そして6ヶ月以上の視覚に関するアウトカムを評価している試験を適格とし選択した.

データ収集と解析:データは二人のレビュアーによって独立して抽出された.介入群とコントロール群の視覚障害の人々の比率が比較された.視覚スクリーニングテストとアウトカム測定法について,さらに試験の質についての情報が抽出された.

主な結果:視覚スクリーニングを主に評価した試験はなかった.多因子評価の5つの試験中の3494人について,視覚に関するデータが入手できた.全ての試験は,スクリーニング手段としても,アウトカム測定としても,視覚障害の自己申告法を採用していた.4つの試験では,視覚についての問題を申告した人々は眼科サービスあるいは医師に紹介された.もう1つの試験では,視覚についての問題を申告した人々は,視力がよくない方のためにコミュニティーに設けられた情報源から情報を得ていた.アウトカムの評価の際に視覚に関する問題を申告した方々の介入群とコントロール群の割合は非常に似ていた(視覚障害の集積相対リスク 1.03:95%信頼区間 0.92〜1.15).しかしながら,介入群とコントロール群の自己申告の視覚の問題をもった老人数のわずかの差(8%)は除外しえない.

結論:コミュニティにおける無症状の老人のスクリーニングは,現在のエビデンスでは正当化されない.この年齢グループにおける視覚障害は,治療で通常減少させうる.なぜ全く利益がないのかは不明である.自己申告のない視覚障害の老人にとってどんな介入が適切かつ有効であるかを明らかにするためにさらなる研究が必要である.


Citation: Smeeth L, Iliffe S. Screening older people for visual impairment in a community setting. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八森 淳/白石由里)