子供の溺死予防のためのプールのフェンスの有効性の評価

The evaluation of the effectiveness of pool fencing to prevent drowning in children

Thompson DC, Rivara FP

最終更新日:19/09/1997


目的:プールのフェンスにより幼い子供を溺死から守ることができるかどうかを決定すること.

検索方法:私たちは電子的データベースのコクラン共同計画検索方法を用い,過去の総説や総説論文の文献リスト,ランダム化比較試験のCCTR,アメリカ合衆国やオーストラリアの政府機関の研究を検索し,子供と青春期青年のための障害防止国際機関や世界障害ネットワーク,CDC出資の傷害コントロールおよび研究センターに接触した.

選択基準:選択するためには,研究が,定義された人口において評価でき,明らかに溺死やほぼ溺死に近い状態になる危険を評価することに関連し解釈できるデータを提示し,あるいはプールのフェンスの有無でこれらのアウトカムの率を提示できるようなデザインでなければならない.選択基準にあう完全な研究はケース・コントロールデザインを用いた.ランダム化比較試験は同定できなかった.

データ収集と解析:3つの発表されている研究が選択基準にあった.データは2人の抽出者により標準的要約様式を用いて抽出された.オッズ比と95%CIと罹患率は,溺死又はほぼ溺死状態に近い状態に対して計算された.寄与危険率(AR%)はプールのフェンスによる溺死の減少の報告のために計算された.

主な結果:プールのフェンスの導入を評価するケース・コントロール研究はプールのフェンスが有意に溺死の危険性を減少させていることを示している.フェンスのあるプールでの溺死や溺死に近い状態の危険性とフェンスのないプールでの危険性とを比較したオッズ比は0.27,95%信頼区間(0.16-0.47)である.独立したフェンス(つまりプールだけを囲んだもの)は周囲的なフェンス(つまり土地とプールを囲んだもの)より優れている.それは周囲的なフェンスは家からプールへの行き来を自由にするからだ.独立したフェンスのあるプールでの溺死の危険性と3面フェンスのあるプールでの危険性を比較したオッズ比は0.17,95%C信頼区間(0.07〜0.44)であった.

結論:プールのフェンスは大きくて安全な門があり家からプールを切り離す(すなわち4面のフェンス)べきだ.法律で公的又は準公的又は個人のすべてのプールに門や自動施錠門のある独立したフェンスを要求するべきだ.


Citation: Thompson DC, Rivara FP. The evaluation of the effectiveness of pool fencing to prevent drowning in children. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:田中恵美子/後藤忠雄)