子宮頸部塗沫標本採取器具:子宮頚管上皮細胞や核異型を検出するのにどれだけ有用であるか?

Cervical smear collection devices: how effective are they at detecting endocervical cells and dyskaryosis?

Martin-Hirsch P, Jarvis G, Kitchener H, Lilford R

最終更新日:25/11/1997


目的:1.子宮頚管内細胞の採取のためのいくつかの頚管採取器具の有用性を評価すること.2.異型細胞検出のためのこれらの器具の有用性を評価すること.3.十分な塗沫標本をつくるためのこれらの器具の性能を評価すること.4.異型細胞の検出するのに子宮頚管上皮細胞の状態がどうであるかをみること.

検索方法:コンピュータ化したMEDLINEの検索と16の関連した雑誌からの手仕事による検索が行われ,1997年7月以前の頚部塗沫標本採取器具について比較したすべての登録されたランダム化試験を確認した.

選択基準:研究:ランダム化試験または準ランダム化試験.対象:一次スクリーニングや異常スメアに引き続いたコルポスコピーや治療後のコルポスコピーを行った婦人.方法:いろいろなデザインの頚部スメア採取器具.結果の評価方法:子宮頚管上皮細胞の存在,頚部細胞異常の検出,血液の混入,不適当な塗沫標本

データ収集と解析:データは二人のレビュアーによりそれぞれ抽出され,相違点は議論によって解決した.

主な結果:34の子宮頚部スメア採取器具について研究されたランダム化比較試験が1997年6月以前で認められた.いずれのランダム化比較試験も子宮頚管上皮細胞の採取器具の性能を比較したものであり,採取器具の核異型の検出力を比較したものが19試験にみられた.メタ・アナリシスによって以下のことが示された.1.他の採取器具に比べてAyreヘラは子宮頚管上皮細胞採取の器具として有用でなかった.Ayreヘラは核異型についても検出率が低かった.3.Ayreヘラは満足な標本数も少なかった.4.a)子宮頚管上皮細胞を多く採取する器具は異常細胞も多く検出する.b)子宮頚管上皮細胞を含む標本は(子宮頚管上皮細胞を含まない標本と比較して)異常細胞診を検出しやすく,とりわけ核異型が高度の場合は検出しやすい.

結論:広く用いられていたAyreヘラは,子宮頚部の標本採取に関して最も有用でない器具であり,このため一次スクリーニングや頚部上皮内癌の治療前後の評価にはAylesburyヘラに替えるべきである.頚管上皮細胞の検出率は核異型を検出する能力をみるための有用で簡便な代用法である.


Citation: Martin-Hirsch P, Jarvis G, Kitchener H, Lilford R. Cervical smear collection devices: how effective are they at detecting endocervical cells and dyskaryosis?. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:野崎香織/佐藤孝道)