禁煙に対するメカミラミン(ニコチン拮抗薬)

Mecamylamine (a nicotine antagonist) for smoking cessation

Lancaster T, Stead L

最終更新日:17/02/1998


目的:メカミラミン(ニコチン拮抗薬)を単独使用またはニコチン代替療法と併用した場合,禁煙が促進されるか,その有効性のエビデンスを評価する.

検索方法:コクランタバコ嗜癖グループの比較臨床試験特別レジスタを検索し,関連文献の著者と連絡をとった.

選択基準:単独使用またはニコチン代替療法との併用でメカミラミンを評価したランダム化比較試験で,介入後少なくとも6ヶ月で禁煙率を報告しているもの.

データ収集と解析:データは募集方法,ランダム化,参加者のタイプ,介入そしてアウトカムによって抽出された.入手されたデータがすでに持っていた性質のため,メタ・アナリシスは行われず,結果は記述的に報告された.

主な結果:どちらも同じ研究者のものである2つの試験が選ばれた.48名のボランティアによる研究では,メカミラミンとニコチンパッチとの併用がニコチンパッチ単独よりも有効であった(1年目の禁煙率 37.5%対4.2%).2番目の研究では,80名のボランティアが禁煙の4週間前より次の4つの内の1つの方法で治療された.1.ニコチンパッチとメカミラミンカプセル,2.ニコチン単独,3.メカミラミン単独,4.薬物なし.4つの全てのグループは,予定された投与終了日の後にニコチンとメカミラミンの併用療法を受けた.これら4つのグループにおける禁煙率はそれぞれ,40%,20%,15%,15%であった.併用療法を受けたグループは,より高い禁煙率を示したが統計学的に有意ではなかった.著者らはKaplan-Meier分析によりメカミラミンの統計学的な有用性を報告した.使用された投与量については,40%に達する被験者が,通常便秘のために投与量の減量を必要としたが,メカミラミンは満足な耐容性を示した.

結論:2つの小規模研究のデータは,ニコチンとメカミラミンの併用は禁煙の促進に対してニコチン単独より優れているかもしれないことを示唆している.しかしながら,この治療が臨床的に推奨されるためには,より大規模な研究で確認する必要がある.


Citation: Lancaster T, Stead L. Mecamylamine (a nicotine antagonist) for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:益田裕子/大野茂樹,宮本英樹)