禁煙のための催眠療法

Hypnotherapy for smoking cessation

Abbot NC, Stead LF, White AR, Barnes J, Ernst E

最終更新日:18/02/1998


目的:禁煙に対する治療としての催眠療法の効果を評価する.

検索方法:コクランタバコ嗜癖グループの比較臨床試験特別レジスタの中から,禁煙のための催眠療法のランダム化比較試験の記載されたすべての報告書を調査した.それに加えて,選ばれた試験の参考文献を参考にしながら"hypnotherapy"と"smoking cessation"の単語の使われているAMED(an allied and alternative medicine database),EMBASE,CISCOM,BIDS ISIの検索も行った.

選択基準:試験開始後少なくとも6ヶ月たった時点での喫煙状態を報告している,禁煙のための催眠療法のランダム化試験.

データ収集と解析:主なアウトカムは,6〜12ヶ月後の禁煙である.データは3人の調査員により独立して抽出された.

主な結果:催眠療法を,14の異なった対照と比較した9つの研究が見つかった.これらは順番待ちのリスト/無治療対照(3研究),注意/アドバイス介入(4研究),心理学的治療(2研究),そして急速的または集中的な喫煙(2研究)に分類された.3研究で催眠療法はカウンセリングとともに行われ,カウンセリングのみの群と比較された.結果が一様ではなかったため,集積オッズ比は,順番待ちのリスト,注意/アドバイス,カウンセリングのみとの比較においては計算されなかった.

研究では,使用している催眠療法や催眠時間は様々であった.催眠回数も非常に様々であった(1から9).そして治療中に行われた催眠の総時間も様々で,80分から7時間であった.結果として,研究を,催眠の方法や催眠の時間に基づいて分類するのは不可能であった.

催眠療法が,無治療あるいは他の介入に比べて,優れているかどうかを決定するには不十分なエビデンスであった.

結論:催眠療法は,6ヶ月後の禁煙率に対して,他の介入や無治療以上の優れた効果を示しはしなかった.

非比較試験により主張されている禁煙に対する催眠療法の効果は,ランダム化比較試験の分析では確認されなかった.


Citation: Abbot NC, Stead LF, White AR, Barnes J, Ernst E. Hypnotherapy for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/大野茂樹,宮本英樹)