成人の喘息患者に対する,患者教育プログラム(情報の提供のみ)の効果

The effects of limited (information only) patient education programs on the health outcomes of adults with asthma

Gibson PG, Coughlan J, Wilson AJ, Hensley MJ, Abramson M, Bauman A, Walters EH

最終更新日:13/11/1997


目的:成人の喘息患者に対する患者教育プログラム(情報の提供に限る)が,患者の健康問題を改善するか否かを検証する.

検索方法:研究は以下の情報源から調査された.;MEDLINE,EMBASE,CINAHLから得られたコクラン気道グループの登録簿,ハンドサーチでの呼吸器雑誌と学会抄録.以下の単語を使って調査した.(Asthma OR wheeze)* AND (education* OR self management OR self-management).これらの論文は入手され,それらの参考論文リストは入手され、ハンドサーチによる付加論文の検討がなされた.

選択基準:二人の調査員がそれぞれ独立して以下の基準を踏まえて論文を評価した.a)研究のタイプ ランダム化比較試験 b)患者のタイプ 喘息(医師の診断または客観的診断基準により規定された)の成人(16歳以上) c)教育のタイプ 喘息の個人(またはグループ)になされた(医師によってではない)患者教育.そしてそれは情報の提供のみに限られている.教育には以下のものが含まれる.すなわちセルフモニタリング,医療の内容を強化するものや実際のプランを書いたものは除外される.これらは別の調査の主題になるであろう.d)結果のタイプ 喘息による入院,急患室の受診,医師の往診,緊急のβ-作動薬の使用,生活の質(QOL),肺機能そして症状のスコア.

データ収集と解析:研究の質は二人のレビュアーによりそれぞれ別々に評価され,データもそれぞれ別々に得られた.分析:結果は一連のものとして分析され,標準的な統計法により分析された.

主な結果:喘息の患者教育については20年間で11のRCTがなされており,いろいろな質について検討されている.(情報の提供に限られた)患者教育は,喘息による入院と医師の往診回数を減少させはしなかったし,肺機能も改善させはしなかった.喘息の症状に対する効果はさまざまであった.(情報の提供に限られた)患者教育後,日常生活の活動性が不活発になることはなかったが,喘息の自覚症状は改善した.重症の成人喘息や再入院の多い救急の現場では,(情報の提供に限られた)患者教育は,急患室の受診回数を減らした.喘息症状の改善を認めた.成人が重い喘息や高い割合で再入院する救急病棟においては,限定された喘息教育は緊急入院を減少させた.

結論:いままで試みられてきて広く普及している,成人の喘息患者に対する患者教育は,患者の健康問題を改善しそうにない.急患室に適応した場合に限っては有望なようだが.


Citation: Gibson PG, Coughlan J, Wilson AJ, Hensley MJ, Abramson M, Bauman A, Walters EH. The effects of limited (information only) patient education programs on the health outcomes of adults with asthma. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/関口聡子,吉村 学)