間欠性跛行に対する運動療法

Exercise for intermittent claudication

Leng GC, Fowler B, Ernst E

最終更新日:09/04/1998


目的:第一の目的は,間欠性跛行を持つ患者において,運動プログラムが症状を軽減したり,歩行距離を増加させるのに効果的かどうかを決定することである.第二の目的は,運動が潜在する疾病の悪化の予防や心血管系イベントを減少するのに効果的かどうかを決定することである.

検索方法:Review Group on Peripheral Vascular Diseases により記述された検索方法を用いて,間欠性跛行における運動療法のランダム化比較試験を記述している全ての出版物を探した.この方法は関連する医学雑誌のハンドサーチと広範囲なMEDLINEの検索を含んでいた.加えて,出版物を相互参照すること,試験の主な研究者に直接接触すること,そしてEMBASEを検索することにより試験を選んだ.

選択基準:アテローム性動脈硬化症のために間欠性跛行をもつ患者において,運動療法群対対照群,運動療法群対内科的治療群又は外科的治療群の全てのランダム化比較試験が含まれた.運動療法については特定せず,運動療法の期間,頻度や強度については限定しなかった.可能性のある試験はGCLにより同定され,そして適格かどうかはEEによってチェックされた.

データ収集と解析:組込み基準を満たす14の試験が同定されたが,その後5つが不十分な質のため除外された.残りの9試験は計200人以上の患者を含んでいた.5試験は,運動群と治療していない群(3つがプラセボ錠を使った)を比較し,2試験が運動と介入(外科療法と血管形成術)を比較し,そして小規模な2つの試験が薬剤(抗血小板剤とペントキシフィリン)を対照群として使用していた.運動療法の内容は様々だが,全てが週に少なくとも2回の運動療法を勧めていた.全ての試験がトレッドミル歩行試験を評価方法の一つとして用い,6つが腓腹筋血流を,4つがAnkle brachial pressure index (ABPI)を評価方法として含んでいた.連続データは,固定効果モデルとランダム効果モデルを使い加重平均差で解析された.

主な結果:運動療法は最大歩行距離を改善し(OR 6.51,95%CI 4.36,8.66),歩行能力は全般で約150%(範囲 74%から230%)改善した.運動は6ヶ月の時点で歩行距離において血管形成術(OR 2.17,95%CI 1.31,3.03)と抗血症板療法(OR 1.06,95%CI 0.15,1.97)と比較して有意な改善を生じたが,外科的治療とは有意差は無かった.そして1つの小規模な試験では,運動はペントキシフィリンより効果が無かった(OR -0.45,95%CI -0.66,-0.24).運動はABPI,腓腹筋血流量に対して有意な効果がなかった.そしてこれらの結果は血管形成術後や抗血小板治療後と同様であった.ABPIは外科手術の結果改善した(OR -0.27,95%CI -0.37,-0.17),しかし副作用の率(18%)が高く,外科手術により死亡例がみられた.

結論:運動療法は間欠性跛行の患者には有効である.そのため,全ての適格患者に推奨すべきである.しかし,運動の長期にみた有効性を,外科手術やペントキシフィリンの様な他の治療と比較して決定するためにさらなる研究が必要である.そして異なった内容の運動療法の費用対効果を評価するためにも,さらなる研究が必要である.


Citation: Leng GC, Fowler B, Ernst E. Exercise for intermittent claudication. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:溝渕泰三/橋本 淳)