間欠性跛行の治療に対するビタミンE

Vitamin E for the treatment of intermittent claudication

Kleijnen J, Mackerras D

最終更新日:19/11/1997


目的:目的は,間欠性跛行の患者の主観的又は客観的アウトカムに対するビタミンE治療の効果について証拠を評価することであった.アウトカムの内訳は,疼痛の自覚,障害,歩行距離,ankle-arm blood pressure index ,標準トレッドミルで疼痛が発生するまでの歩行距離,血管手術の発生,切断術又は死亡である.

検索方法:間欠性跛行のビタミンEのランダム化比較試験又は比較臨床試験の全てが,コクラン末梢循環障害レビューグループによって採用された検索方法を用いて探された.

選択基準:少なくとも一つのグループでビタミンEを使用する比較試験又はランダム化比較試験が,二段階の解析のため選ばれた.患者は明確に診断された病気を持つ間欠性跛行を持ち,次のうち一つ又はそれ以上のアウトカムがなければならなかった.苦痛の主観的自覚,障害,患者と医師あるいはどちらか一方により評価された歩行距離,ankle-arm blood pressure index ,標準トレッドミルで疼痛の発生するまでの歩行距離,標準トレッドミルによる総歩行距離,血管手術の発生,切断術と死亡.

データ収集と解析:全てのデータの評価と抽出は,不一致を解決する議論の前に,2人の著者が非盲目的に,独立して行った.選ばれた各試験から以下の情報が抽出された.それは,患者の特徴,割付け手順,脱落の人数,介入薬物と対照治療薬の正確な量,双盲,アウトカム,分析の方法,そして著者の結論であった.第一段階の解析ではランダム化比較試験の結果が評価された.1つの試験だけはランダム化の手順を十分詳細に記述していたので,第二段階の解析のみが行われた.

主な結果:5つの比較試験が12週から18カ月の間行われ,4つの異なる身体的結果を測定し,5つの異なる量のビタミンEを使用した.全ての試験がそれらの主な結果の一つに有効を示した.約8ヶ月続いた2つの試験は,同じ量を使用したが,共に患者の治療に対する主観的評価を報告していた.これらの結果はプールされ,そして有望な結果を示した.プールされた相対危険度はランダム効果モデル解析によると,95%信頼区間が1をまたぎ,0.6であった.

結論:私たちは,間欠性跛行を持つ患者にビタミンEの使用を勧める十分なデータがあるとは,思えない.加えて,ビタミンEの効果を他の治療と比較する試験は発見されなかった.このため,ほとんどの試験で示された有効の傾向が正しいとは判断できなかった.そうだとしても,現在まで,重大な副作用が報告されていないし合成ビタミンEは大変安く,試みる価値があると考える人もいる.私たちは,ビタミンEをプラセボや他の治療と比較し,幅広い主観的そして客観的な結果測定を用いる,より大きなランダム化試験が行われることを期待する.


Citation: Kleijnen J, Mackerras D. Vitamin E for the treatment of intermittent claudication. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:直江正保/浅井泰博,宮本英樹)