頚部損傷の保存療法　パート4；患者教育

Conservative management of mechanical neck disorders. Part four: patient education

Gross AR, Aker PD, Goldsmith CH, Peloso P

最終更新日：18/01/1998

目的:

患者教育は，成人が頚部損傷の疼痛を減少させるかを決定すること．調節変数には以下のものを含む：ある程度の変化が，治療の集積結果の重要性に影響を及ぼすかを決定すること．これらの変化が含まれる：研究の方法論的質，病悩期間，頸部損傷の種類，制度環境の形式，学習活動の形式，授業内容の構成．

検索方法:

コンピュータ化された文献データベース(Medlars，Embase，Chirolars，Index to Chiropractic Literature，Cumulative Index to Nursing and Allied Health Litarature，Science Citation Index，CPI，NTIS)を、1985年以後(もしくは次の最も近い年)から1993年の12月まで調べ，すべての著者，関連した国内及び全世界の政府機関，財団，組織，専門家から情報を求め，全ての論文の書誌スクリーニングを行い、出版・公表されている研究とされていない研究を区別した．

選択基準:

2人の査定者が独立して，以下の包含基準にしたがって，どの論文かわからないようにされた論文を評価した(デザイン=ランダム化比較試験(RCT)もしくは臨床比較試験(CCT)；集団=頚部損傷を持つ18歳以上の人；介入=患者教育方法；アウトカム=痛みの測定か何か他の尺度)．それぞれ選択された試験は，方法論的質に関し独立して評価された．

データ収集と解析:

2人の査定者が独立して，痛みやその他のデータと同様に，特定の人口統計データとメタ・アナリシスの過程での様々な可能性のある情報源と関係したデータを抜粋した．標準平均差(SMD)(95%信頼区間[CI])はそれぞれの研究から計算された．

主な結果:

頚部損傷の保存療法と関係している選択された25のRCTのうち3つが，患者教育について調べていた．21のRCTが(2つが患者教育)方法論的質においてやや強または良と評価された(Koes 1992；Kamwendo 1991)．1つのRCTは，教育方法に(頚部痛教室もしくは頚部痛教室プラス精神的カウンセリング)運動を組み合わせたグループを使って，痛みが減少していないことを見出した(SMD[頚部痛教室]=0.366[-0.951，0.219]；SMD[頚部痛教室プラス]=0.073[-0.513，0.659])．2つのRCTは，個人に合った教育(アドバイス)のみ，もしくはそれに薬物とソフト・カラーとの組み合わせが対照またはプラセボの治療ほど効果的でないことを見出した(SMD[Koes 1992]=0.233[-0.577，1.065]；SMD[McKinney 1989]=-0.617[-1.048，-0.186])．しかしながら，これらの研究は統計学的検出力が低く，そして1つは特に方法論的質が低い(McKinney 1989)．付加的な情報を探し出すような研究対象者に関する併存介入は3つの試験のどれにも報告されていなかった．

結論:

個人的あるいはグループでの教育方法を用いた患者教育において，頚部損傷のための痛みを減少する有益性は示されなかった．有益性に欠くことをより確実に示すためには大規模なRCTが必要とされる．しっかりした研究デザインと方法論を使った将来の研究が当然必要である．彼らの健康上の問題に関して付加的な情報(アドバイス)を探し出すような研究対象者に対する併存介入は，どの介入でも想定された部分である．将来の試験において患者教育の評価は注意深く監視されるべきである．教育的特徴のより良い記録と付加的なアウトカムの使用は将来のRCTから得られる知識を広げるであろう．

**読者への注意点**

Back Review Group Editorial Boardはこのレビューに存在する2つの方法論的論点を読者に警告すべきであろう．第1に，Medlineデータベースによる検索が1985年から1993年までの間にすぎないことである．この日付の制限によりこのデータの前後に公開された2，3の関連した研究はこのレビューに示されない．レビューの改訂版は，検索を1966年から現在までのMedlineに含まれている研究まで拡大することをレビュアーは私たちに保証している．この改訂版もまた現在のCochrane Back Review Group Methodology(van Tulder, 1997)を使い，そしてCochrane Libraryの1999年1月版では利用できるであろう．


Citation: Gross AR, Aker PD, Goldsmith CH, Peloso P. Conservative management of mechanical neck disorders. Part four: patient education. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.

（日本語翻訳：久保理恵／本城雅史）