全身性硬化症:進行性全身性硬化症のレイノー現象の治療に関するケタンセリン対プラセボ

Systemic Sclerosis (SS): Ketanserin Versus Placebo for the Treatment of Raynaud's Phenomenon (RP) in Progressive SS

Pope J, Fenlon D, Thompson A, Shea B, Furst D, Wells G, Silman A.

最終更新日:30/11/1997


目的:このレビューの目的は強皮症のレイノー現象の治療法に関して提案された,プラセボに対するケタンセリンの有効性と毒性の決定であった.

検索方法:主なデータ情報はDickersinおよびその他(Dickersin 1994)によって開発されたコクラン共同計画の検索方法で使用している1966年から1996年のMEDLINEに含まれる.含まれるキーワード:レイノー現象,血管痙攣,強皮症,進行性全身性硬化症,結合組織病,自己免疫疾患.現在の内容は1997年4月7日まで調査された.コクラン・ライブラリーの一部であるコクラン比較臨床試験レジスターもまた調査された.すべての文献あるいは検索された論文が厳重に調査された.検索方法はすべての言語を含む.

選択基準:プラセボに対するケタンセリンを比較するすべてのランダム化比較試験のうち,報告されたアウトカムが臨床的に重要性があるものを適格とした.脱落率30%以上の試験は除いた.

データ収集と解析:データは二人の査読者によって独立に抽出されたが(DF,AT).Petoのオッズ比(OR)は,すべて二分されたアウトカムとして計算され,そして加重平均差は(WMD)すべて連続したアウトカムが計算された.もしそのデータが均一あるいは不均一ならば,固定効果モデルあるいは,ランダム効果モデルがそれぞれ使われた.

主な結果:18の試験が検索により見つかり,そのうち15が除外された.11においてレイノーを伴う強皮症患者に関するサブグループデータが示されていなかった.2つの研究がランダム化されておらず,又,脱落率が30%を超えていたので除外された.2つのほかの研究は,対照群がなかった.改善された割合は,ケタンセリンのグループで有意に高かった.しかしながら,プラセボとケタンセリンを比較すると,レイノー発作の重症度はプラセボの方が低かったが,その差は統計学的に有意ではなかった.副作用は,実薬群(ケタンセリン投与群)において,有意に多かった.発作頻度に変化はなかったが,発作持続時間は,ケタンセリンのグループで有意に減少した.

結論:ケタンセリンは,強皮症に伴うレイノー現象の治療において,いくらか有効かもしれない.発作持続時間をいくらか減少し,改善した患者数がプラセボと比較して多かったことを除いて,全体としてのケタンセリンのレイノー現象の治療に関する効果はプラセボと有意に違わなかった.しかしながら,副作用はより多くあった.強皮症に伴う,レイノー現象の治療は臨床的に有用ではないと結論づけられる.


Citation: Pope J, Fenlon D, Thompson A, Shea B, Furst D, Wells G, Silman A.. Systemic Sclerosis (SS): Ketanserin Versus Placebo for the Treatment of Raynaud's Phenomenon (RP) in Progressive SS. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:亀井陽子/渡邊次夫,小林正人)