慢性関節リウマチ(RA):RAに対するメソトレキセートの副作用を軽減する葉酸とフォリン酸の有効性

Rheumatoid Arthritis (RA): The Efficacy of Folic Acid and Folinic Acid Reducing Methotrexate Side Effects in RA

Ortiz Z, Shea B, Suarez Almazor M, Moher D, Wells G, Tugwell P.

最終更新日:30/11/1997


目的:1)関節リウマチ(RA)患者に対する低容量メソトレキセート(MTX)の粘膜,消化管(GI),血液に対する副作用の軽減における葉酸およびフォリン酸の有効性を評価する.2)葉酸の補給がMTXの効果を変えるかどうかを決定する.

検索方法:MEDLINE検索はコクラン共同計画によって開発された検索方法を使って1966年から1997年までで行われた.(Dickersin 1994)ハンドサーチは以下のものを含んでいる.1)参考文献 2)最近6ヶ月間の短報 3)リウマチ学会の要約 4)すべての言語を含む4雑誌のすべての論争点,Journal of Rheumatology,Arthritis & Rheumatism,Clinical and Experimental Rheumatology,British Journal of Rheumatology.主任調査者たちも出版されていない文献を探すために連絡を取り合った.コクラン比較臨床試験レジスター(CCTR)は今後も最新の文献検索をする予定である.

選択基準:われわれは,葉酸類補給を行い低容量MTX(20mg/週)による治療を行っている大人のRA患者において,双盲法によるプラセボコントロールのランダム化比較試験(RCTs)をすべて選んだ.

データ収集と解析:ふたりのオブザーバーがデータを抽出して臨床試験の質を評価した.(BS,20)試験に対するすべての治療効果は固定効果モデルを使って計算された.評価方法の比較を確実にするために,疾患の活動性を標準偏差を用いて評価した.サブグループの解析は試験の質をみながら異なった投与量や感受性分析を評価することで行われた.出版バイアスは,逆Funnelプロット法で評価した.試験の不均一性は標準カイ二乗試験を使って測定された.異国間のひと月の費用も比較された.

主な結果:検索した12の試験のうち,7つが包含基準を満たしていた.全サンプルは307人の患者を含んでおり,その147人に葉酸類の補給を行っていた.80人がフォリン酸で67人が葉酸であった.葉酸によって粘膜や消化管の副作用の79%の軽減が得られた[OR=0.21(95%CI 0.10-0.44)].フォリン酸では,統計学的に有意でないが,臨床的に43%の減少があった[OR=0.57(95%CI 0.28-1.15)].葉酸およびフオリン酸の低用量と高用量間では大きな差はなかった.血液学的副作用については分析できなかった,なぜなら患者個々の血液学的な詳細については得られていなかったからである.疾患の活動性指標にはプラセボと葉酸及びフォリン酸の低用量もしくは高用量の比較の際には明らかな差は見られなかった,しかし,フォリン酸の高用量の患者では疼痛を伴う関節数の増加がみられたが,腫脹関節数は増加しなかった.各国間の費用の大きな差が見られた.フォリン酸がすべての国でより高価であった.

結論:この結果はMTXの口腔内や消化管系の副作用を軽減する点について葉酸類の補給による予防効果を支持している.費用対効果を考慮すると,フォリン酸はMTXの副作用軽減において葉酸より一層効果的でなければならない.


Citation: Ortiz Z, Shea B, Suarez Almazor M, Moher D, Wells G, Tugwell P.. Rheumatoid Arthritis (RA): The Efficacy of Folic Acid and Folinic Acid Reducing Methotrexate Side Effects in RA. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:谷本省三/中村英治,小林正人)