目的:臍動脈カテーテルの材質が新生児の虚血性変化,動脈血栓症,脳室内出血,児死亡や壊死性腸炎の頻度に影響を及ぼすかどうかを決定すること.検索方法:臍動脈カテーテルの使用に関するランダム化・準ランダム化比較試験を以下の情報源から得た:1. 「Effective Care of the Newborn Infant」JC Sinclair,MB Bracken編集.2. MEDLINEの検索.Melvyl Medline Plusを使用し,キーワード"Umbilic#","Catheter#",主題"Infant,Newborn"を用いた.3. 個人用データファイルの検索.
選択基準:出生児体重や在胎週数を問わない新生児を対象としたランダム化試験であること.異なる材質のカテーテルを比較していること.虚血性変化や動脈血栓症など臨床的に重要な結果を測定していること.
データ収集と解析:1つの非ランダム化試験と1つのランダム化試験が見つかった.
主な結果:標準的なPVCカテーテルの代わりにヘパリン結合ポリウレタンカテーテルを用いても明らかな効果は認められなかった.非ランダム化試験でSilasticで作られたカテーテルを使用すると動脈血栓症の減少がみられ,有益である可能性が示唆された.
結論:PVCカテーテルと他の材質との間に臨床的に明らかな結果の差は示されなかった.したがって値段や入手しやすさといった他の要素によりどのカテーテルが選ばれるかが決まるだろう.SilasticとPVCの比較に関する十分な規模のランダム化比較試験が行われるべきである.
Citation: Barrington KJ. Umbilical artery catheters in the newborn: effects of catheter materials. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:廣瀬美智代/佐藤孝道)