妊娠中のマグネシウム補充

Magnesium supplementation during pregnancy

Makrides M, Crowther CA

最終更新日:19/02/1998


目的:もっとも有用なエビデンスを用いて,母体,新生児,小児の結果についての,妊娠中のマグネシウム補充の効果を評価すること.

検索方法:このレビューは,全体として,妊娠と出産グループが開発した調査方法によって行われた.関連する試験は,同グループの比較臨床試験特別レジスターから同定した.さらなる情報についてレビューグループの詳細をみよ.

選択基準:妊娠中に経口のマグネシウム治療をした後の,新生児死亡率,母体罹患率,新生児罹患率,治療に対する母体の受け入れ,治療の副作用,小児の結果にような結果をプラセボを使った,または,使っていないコントロール群と比較したデータのある,すべての出版された,ランダム化または準ランダム化試験.

データ収集と解析:組み込みの適合性と方法論的質は,結果を考慮せずに,それぞれのレビュアーによって評価された.データは2人のレビュアーによって別々に抽出された.適格な試験すべてが,最初の解析に組み込まれ,あらかじめ分けておいた感度分析が,試験の質を評価するために考慮された.

主な結果:妊娠25週前から経口マグネシウム治療は,プラセボ治療と比較し低出生体重児とSFD児の発生率が低いとともに,早産の発生率が低下し,妊娠中の母体の入院が減少し,妊娠中の出血が減少するという結果が,6試験すべての解析で示唆された.これらの好ましい結果は,解析に大きな重みのある,2つの質的に不十分な試験が実際のところ影響を及ぼしていた.'良好な質のグループ'の組み込みに適合していた試験は1試験のみであったので,敏感度分析からは結論は導かれなかった.適合していた試験[Memphis 1989]では,妊娠中のマグネシウム補充は母体と新生児の結果に影響しないという結論であった.

結論:現時点でのエビデンスの方法論的質が悪いので,妊娠中の食物マグネシウムの補充は日常の臨床診療には勧められない.妊娠と新生児の結果を研究するさらなる試験を行う正当な理由があり,それらの試験は高い質にすべきである.


Citation: Makrides M, Crowther CA. Magnesium supplementation during pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:高口恵子/佐藤孝道)