急性の外傷性脳障害を伴う患者の死亡率と神経学的疾病に関するカルシウムチャンネルブロッカーの有効性の評価

Assessing the effect of calcium channel blockers in patients with acute traumatic brain injury on mortality and neurological disability

Langham J, Goldfrad C, Teasdale G, Shaw D, Rowan K

最終更新日:25/03/1998


目的:急性の外傷性脳障害を伴う患者と外傷性くも膜下出血を伴う患者のサブグループにおいてカルシウムチャンネルブロッカーの有効性を評価する.

検索方法:入手可能な1997年10月までのランダム化比較試験のハンドサーチとコンピューターによる検索.

選択基準:急性の外傷性脳障害と臨床的に診断されたあらゆるレベルの重症度の患者におけるランダム化比較試験.

データ収集と解析:同定した研究の適格性とそれぞれの研究から抽出したデータを2人のレヴュアー(JLとCG)が独立して評価した.

要約オッズ比はマンテル・ヘンツェル法を用いた RevMan 3.0のソフトウェア(Update Software, 1996)で計算された.

主な結果:4つのRCTがシステマティック・レビューとして適するものと同定された.死亡の危険に関するカルシウムチャンネルブロッカーの効果はすべてのRCTで報告されていた.4つの研究をプールしたオッズ比は0.91だった(95%CI 0.70-1.17).死亡と重篤な障害に対する3つのRCTをプールしたオッズ比は0.85だった(95%CI 0.68-1.07).外傷性くも膜下出血の患者のサブグループにおいて,死亡の危険性を報告した2つのRCTをプールしたオッズ比は0.59だった(95%CI 0.37-0.94).このサブグループにおいて,死亡と重篤な障害をアウトカムとして報告した3つのRCTではこれをプールしたオッズ比は0.67だった(95%CI 0.46-0.98).

結論:急性の外傷性頭部障害の患者においてカルシウムチャンネルブロッカーのRCTのこのシステマティック・レビューはそれらの効果に関して考慮すべき不確かさが残っていることを示している.介入グループに関して副作用の増加はある患者にとっては薬物が有害であるということかもしれないが,くも膜下出血を伴う脳障害患者のサブグループにおいてはニモジピンの効果は有効であることを示している.


Citation: Langham J, Goldfrad C, Teasdale G, Shaw D, Rowan K. Assessing the effect of calcium channel blockers in patients with acute traumatic brain injury on mortality and neurological disability. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/石川鎮清)