就学前の小児に対するデイケアの健康と福祉への効果: ランダム化比較試験のシステマティック・レビュー

The health and welfare effects of day care for pre-school children: a systematic review of randomised controlled trials

Zoritch B, Roberts I.

最終更新日:01/09/1997


目的:就学期前の子供たちの屋外でのデイケアの子供たちとその家族に対する教育的,健康的福祉的アウトカムを定量的評価すること.

検索方法:就学前の子供たちに対するランダム化比較試験は,電子的データベース,関連文献のハンドサーチ,著者との接触により同定した.

選択基準:研究は,介入が5才以下の子供たちに親のいない所でのデイケアの供給を含み,評価されるデザインがランダム化か準ランダム化比較試験であれば,レビューに含んだ.

データ収集と解析:920の要約と19の本を検討し合計8つの試験が同定された.その研究は方法論的質が評価された.

主な結果:デイケアは子供たちのIQを増加させ,行動的発達や学校教育に有益な影響をもたらす.長い期間の追跡調査で就学率を増加させ,10代での妊娠を少なくし,社会経済的地位を高いものにし犯罪行動を減少させることを明らかにした.母親の教育や就業,子供たちとの相互関係には明らかな影響がでた.父親への影響は調査されていない.ほとんどの研究が健康や教育,福祉の分野に及ぶアウトカムを見ていない.またほとんどの研究が,親のいない所でのデイケアと親になるための訓練の要素や教育を兼ね備えていた(ほとんどは母親を目標としている)が,それらはこれら2つの介入の効果の可能性をわけることはできなかった.試験は他の方法論的弱点があり,これはこの分野での研究計画を改善する必要性を示す.すべての研究はアメリカ合衆国で行われている.

結論:デイケアは子供たちの発育や学校での成功,大人としての生活様式に有益な影響があった.現在すべてのランダム化比較試験はアメリカ合衆国で不利益を受けている人々の間で行われている.他の文化や社会経済群に対してこの結果をどの程度一般化できるかは未だ評価されていない.


Citation: Zoritch B, Roberts I.. The health and welfare effects of day care for pre-school children: a systematic review of randomised controlled trials. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:田中恵美子/後藤忠雄)