禁煙のための嫌煙

Aversive smoking for smoking cessation

Hajek P, Stead LF

最終更新日:01/09/1997


目的:喫煙者の禁煙補助方法として,急速喫煙やその他の嫌煙効果をねらった方法の効果を評価する.嫌煙効果をねらった刺激法のレベルと禁煙効果の間に量反応関係があるかどうかをみる.

検索方法:コクランたばこ嗜癖グループのデータベースとMEDLINE,PsycLITデータベースを検索した.関連論文の参考文献も調べた.

選択基準:ランダム化比較試験で嫌煙治療と治療なしの方法とを比較したもの,又は嫌煙治療を異なる強度で比較したものとした.治療開始から少なくとも6カ月以上の追跡を行っている研究に限定した.

データ収集と解析:著者によって最も厳格な方法で調べられた最終追跡時点での禁煙をアウトカム評価とした.脱落例は喫煙したものとした.固定効果モデルを用いてメタ・アナリシスを行った.

主な結果:24試験が採用基準を満たした.それらは,1つ又はそれ以上の嫌煙治療法について評価をおこなっていた.急速喫煙を行ったもの10試験,また他の嫌煙治療法を用いたものが10試験,2つ又はそれ以上の条件で嫌煙刺激の量反応関係を評価していたものが10試験であった.急速喫煙による禁煙効果について,対照にたいするオッズ比は2.08(95%信頼区間1.39-9.12)であった.この結果は,注意深く解釈しなくてはいけないいくつかの要因を示唆している.分析に用いられた研究結果のFunnelプロットは(効果あり,なしの結果で分類してグラフにしてみると)左右非対称だった.それは否定的結果を示した小規模の研究が比較的少なかったためである.ほとんどの試験には多くの重大な方法論上の問題点があり,そのため偽陽性の結果が出ている可能性があった.自己申告の禁煙報告を生化学的に確認している唯一の試験は有意差を示さなかった.他の嫌煙治療法は有効性を示さなかった(オッズ比1.19,95%信頼区間0.77-1.83).嫌煙刺激のレベルによる用量反応性の危険率は境界上にあるが(オッズ比1.66,95%信頼区間1.00-2.78),急速喫煙による結果の場合と同様の注意点があてはまる.

結論:現在までの研究結果では,急速喫煙による効果,又は嫌煙刺激の用量反応性があるかどうかを決定する十分な根拠はない.より緩徐な嫌煙治療法には特定の効果はないようである.急速喫煙はまだ有効性が証明されていない方法である.しかし最近の厳格な方法論を用いて適切な評価をするならば有効性を示す見込みが十分ある研究結果がでている.


Citation: Hajek P, Stead LF. Aversive smoking for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八重ゆかり/村上智彦,名郷直樹)