潰瘍性大腸炎の寛解維持のための経口5-Aminosalicylic Acid投与

目的：活動性潰瘍性大腸炎において，プラセボもしくはスルファサラジン(SASP)と比較して5-Aminosalicylic Acid(5-ASA)の新しく発表された一連の研究についての有効性，量-反応関係，安全性を評価する．

検索方法：MEDLINE,BIOS,コクラン比較臨床試験レジスター, コクラン炎症性腸疾患グループ比較臨床試験特別レジスター，Science Citation Indexを用いてコンピュータアシストされた文献(1981年から1998年)の検索を行った．あらかじめ検索された論文，総説論文，シンポジウムの論文集，主な胃腸学会の抄録から，リストを参考に手作業の検索を行った．

選択基準：前向き双盲法でプラセボもしくはSASPを対照としたランダム化比較試験で，最小治療期間6カ月の臨床試験であれば分析に入れた．

データ収集と解析：Intention to treatの原則に基づいた第一のアウトカムは，臨床的もしくは内視鏡的な寛解維持の失敗，第二のアウトカムは，副作用を起こした患者数，副作用によって脱落した患者数，研究組み入れ以後の再発以外の除外や脱落であった．すべてのデータはピートのオッズ比とその95%信頼区間で分析された．

主な結果：臨床的もしくは内視鏡的な寛解維持(離脱症状，再発)の失敗における5-ASAのプラセボに対するオッズ比は，0.47(信頼区間0.36-0.62)で，NNTは6であった．SASPに対しては1.29(信頼区間1.05-1.57)，NNTは-19で，SASPで治療効果が高いことが示唆された．

SASPと5-ASAには，似通った副作用があり，オッズ比はそれぞれ1.16(0.62-2.16)，1.31(0.86-1.99)で，NNH値はそれぞれ171と78であった．

結論：新しい5-ASA製剤は維持療法においてプラセボより優れていた．けれども新しい製剤は，SASPと比較して統計学的に有意に劣っている．

Citation: Sutherland L, Roth D, Beck P, May G, Makiyama K. The Use of Oral 5-Aminosalicylic Acid for Maintenance of Remission in Ulcerative Colitis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.