慢性マンソン住血吸虫症の治療

Treating schistosomiasis mansoni

Saconato H, Atallah A.

最終更新日:26/11/1997


目的:オキサムニキン又はプラジカンテルを用いた慢性マンソン住血吸虫症の治療を評価する.

検索方法:データ源:@MEDLINE及びLILACSのデータベース.Aコクラン感染グループの比較臨床試験特別レジスター.コクラン比較臨床試験レジスター.C書籍及び論文の参考文献一覧.

選択基準:慢性マンソン住血吸虫症における,オキサムニキンあるいはプラジカンテルについてのランダム化比較試験または偽ランダム化試験(個人あるいは集団)すべてについて集めた. 

データ収集と解析:治療後1ヶ月または3ヶ月の間,排泄物または直腸粘膜組織の生検で,生存能力のある虫卵がないこと.改善傾向があるという臨床的確証あるいは許容できる方法.

主な結果:10の試験が判定基準を満たした.プラジカンテルとオキサムニキンはプラセボより慢性マンソン住血吸虫症の治療に有効であった.アフリカでは,14才以上の患者において,プラジカンテル 40mg/kgはオキサムニキン 15mg/kgより効果があった(OR 3.54, 95%CI 1.70〜7.38)が,オキサムニキン 30mg/kgと比較すると差は見られなかった(OR 0.29, 95%CI 0.08〜1.01).ブラジルでは,14才以上の患者において,プラジカンテルはオキサムニキンと比較して効果に差は認められなかった(OR 1.70, 95%CI 0.83〜3.49).両剤とも安全性には問題ないと思われる.

結論:慢性マンソン住血吸虫感染はプラジカンテル又はオキサムニンのどちらででも治療可能である.有効性でも差は認められなかった.しかし,アフリカの研究では,オキサムニン30mg/kg以下の投与では効果が少なかったようだ.感染による罹患率についてのプラジカンテルとオキサムニンの効果に関するデータは見い出せなかった.


Citation: Saconato H, Atallah A.. Treating schistosomiasis mansoni. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/吉村 学,鶴岡優子)