関節外股関節骨折:内固定術の手術技術(骨切り術,圧迫,穴開け)

Extracapsular hip fractures: Surgical techniques for internal fixation (osteotomy, compression, reaming)

Parker MJ, Tripuraneni G

最終更新日:27/04/1998


目的:成人におけるランダム化試験の対象となった,関節外近位大腿骨骨折(股関節骨折)の内固定術における手術技術の異なる面を比較する.アウトカムとして次のようなものが考えられた.a)手術の詳細,b)骨折の固定に伴う合併症,c)手術後の合併症,d)解剖組織上の回復度,e)最終的なアウトカムの測定.

検索方法:筋骨格・外傷グループの一般的な検索方法,整形外科雑誌やカンファレンス予稿集をハンドサーチしたもの,関連論文のリファレンスリストを点検して1997年9月までの試験について確認した.

選択基準:関節外股関節骨折の治療としての手術技術を研究したランダム化,準ランダム化試験を全て選んだ.

データ収集と解析:データは出版済みの結果より抽出した.可能で適当なものであればアウトカムの測定結果を集めた.11項目のチェックリストを用いて試験の方法論的な質を評価した.

主な結果:7例のランダム化,準ランダム化試験が確認され,そのうちの6例をレビューに用いた.方法論的にはこれらは全て中程度の質であるに過ぎなかった.

65名がfixed nail-plateによる固定術を受けた試験では,骨切り術と解剖学的な整復を比較した.骨切り術を受けた後は固定不全率が減少する傾向が見られた.

総計327名の患者がsliding hip screw (SHS) による固定術を受けた3つの研究では,骨切り術と解剖学的な整復を比較した.骨切り術に関連して手術による失血と手術時間が増加した.入院滞在は長期化し,脚が短くなる場合や骨切断によって固定不全となる場合が増える傾向が見られた.

200名がSHSによる固定術を受けた1つの研究では,骨折部位に圧迫を加えた場合と加えなかった場合の結果を比較した.圧迫を加えた治療によって,それらの骨折に内反の変形が増加したことが,アウトカムにおけるただ一つの大きな違いであった.

ただ1つの研究で,19名の患者において,大腿骨骨頭に穴を開ける標準的な方法とその修正後の方法を比較したが,臨床的に重要なアウトカムは残されていない.

結論:不安定型の転子間大腿骨骨折の内固定術として,SHSに関連した骨切り術のルーチンな施行に利点があると判断するには,エビデンスが不十分であった.fixed nail-plateに関連して行われるならば,骨切り術が適切な場合もある.

ただ1つの研究のエビデンスに基づき,SHS固定の施行中に転子間骨折部位への圧迫を指示するには,エビデンスが不十分であった.

SHS固定の施行中に標準と異なるやり方で穴を開ける方法の有効性を決定付けるには,情報が不十分であった.


Citation: Parker MJ, Tripuraneni G. Extracapsular hip fractures: Surgical techniques for internal fixation (osteotomy, compression, reaming). In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/鶴岡優子)