慢性関節リウマチ(RA)と変形性関節症(OA): 関節炎患者に対する温泉療法

Rheumatoid Arthritis (RA) and Osteoarthritis (OA): Balneotherapy for Patients with Arthritis

Verhagen AP, de Vet HCW, de Bie RA, Kessels AGH, Boers M, Knipschild PG.

最終更新日:27/11/1997


目的:関節炎患者に対する温泉療法(水治療もしくは温水療法)はもっとも古い治療法の一つである.温泉療法の目的の一つは痛みを鎮静化し,その結果苦痛を和らげることである.われわれは温泉療法の効果を評価するために組織的再調査をおこなった.

検索方法:コクランの検索方法を使って,以下の検索によって研究を選んだ.1)1966-1995のMEDLINE CD-ROMデータベース,2)Cochrane Field'Physical Rehabilitation and Related Therapies'からのデータベース,これはMEDLINEによって得られない雑誌類に発表された研究をも含んでいる.また,3)参照文献の確認,4)著者らとの個人的なつながりで選ばれるべき研究を得ることがあった.出版物の言語はオランダ語,英語,フランス語およびドイツ語であった. 

選択基準:もし研究が実験的だとしても(ランダム化比較試験(RCT)でも,比較臨床試験(CCT)のような非ランダム化試験でも)適格とした.患者には慢性関節リウマチ(RA)も変形性関節症(OA)もその他の変形関節症も含んでいる.明確なもしくはアメリカリウマチ学会(ARA)基準(Ropes1958)によって定義された(これらの基準は何回も変わっているが)もしくはSteinbrocker(1949)の基準によって定義された古典的関節リウマチ(RA)による患者を含めた研究は別の群として考察された.RA臨床試験のエンドポイントとしてのWHO/ILARコアセットが含まれた.

データ収集と解析:研究の品質基準は二人の著者(HdV,RdB)らによって独立して決定された.不一致は了解を取った.基準リストは方法論的品質を評価するのに使った.このリストはマーストリヒト大学の疫学研究室で発展された.世界保健機構(WHO)と国際リウマチ連盟(ILAR)による慢性関節リウマチ(RA)臨床試験のエンドポイントのコアセットが効果判定に使用された.


主な結果:多くの研究が有効な結果を報告していた,しかし,どの研究にも方法論的な欠点があった.「生活の質」についてのアウトカムはどの研究も報告していなかった.ランダム化比較試験(RCTs)のどれもがintention-to-treat解析には言及していなかったし,群間の効果の比較も行っていなかった.研究や多くのアウトカムの不均一性により,データの蓄積は行わなかった.

結論:貧弱な方法論的品質や,充分な統計学的分析の欠如や,患者に対する最も重要なアウトカム(痛みや生活の質)の欠如によって科学的証拠は弱いけれども,多くの研究が有効的な調査結果を報告していることは無視することはできない.しかしながら,ほとんどの研究の有効な調査結果の主張を支持する明確な証拠はなかった.それゆえに,これらの「有効な結果」は用心して検討するべきである.今回は,方法論的な欠陥によって温泉療法の効果についての回答を決めることはできなかった.この再調査で見つかった研究の欠点は今後の研究においてはさけることができるであろう.


Citation: Verhagen AP, de Vet HCW, de Bie RA, Kessels AGH, Boers M, Knipschild PG.. Rheumatoid Arthritis (RA) and Osteoarthritis (OA): Balneotherapy for Patients with Arthritis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:谷本省三/中村英治,濱崎圭三)