変形性関節症:変形性股関節症における鎮痛消炎剤療法のランダム化比較試験のシステマティック・レビュー

OSTEOARTHRITIS: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials of Analgesia and anti-inflammatory Therapy in Osteoarthritis (OA) of the Hip

Towheed T, Shea B, Wells G, Hochberg M

最終更新日:30/08/1997


目的:変形性股関節症(OA)における鎮痛消炎剤療法のすべてのランダム化比較試験(RCTs)をシステマティックにレビューする.どの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)がもっとも効果的で,どのNSAIDが一番毒性が強いかを決定する.

検索方法:コクラン共同計画に採用された検索方法(Dickersin 1994)に基づき,1966年から1994年8月までの間に出版された変形性股関節症患者に対する消炎鎮痛剤療法のRCTsをMEDLINE検索によって特定した.すべてのRCTsの参考文献リストについても,コクラン・ライブラリーやコクラン比較臨床試験レジスターと同様に検索を行った.

選択基準:変形関節症患者に対する非ステロイド性抗炎症剤と鎮痛剤を比較したすべてのランダム化比較試験である.選定された試験はひとりの調査者(TT)によって同定され,第二の調査者(MH)によって再確認された.

データ収集と解析:質的評価は関節リウマチに対するNSAID試験で用いられた質的スコアシステムを使って行われた.試験のデザイン面と解析面両方が評価され,それぞれが0から8までの等級に割付けられた.ひとつのNSAIDによって得られた改善率と別のNSAIDによって得られたものの比を計算する量的方法は,異なったNSAIDsの疼痛軽減に関して,相対的有効性を評価するのに使用された.毒性の比較は調査者の研究結果に従った.すべての質的評価は独立した二人の調査者(TT,BS)によって行われた.すべての資料抽出は一人の調査者(TT)によって行われ,二人の別の調査者(BS,GW)によって再確認された.相違点は一致をはかった.

主な結果:39個のNSAIDsと4個の鎮痛剤を含む43のRCTsが特定された.デザインと解析のスコアの平均値はそれぞれ2と4であった.6個のNSAIDsがすくなくとも5試験に含まれていた.それらの中で,インドメタシンは7個の比較物質中5個でより有効であった.しかし,12個の比較物質中7個でより毒性が高かった.29の比較するNSAIDのうち5個(17%)のみで有効性において統計学的に有意な差が認められた.調査した43RCTsのうち17試験のみが今後のこのようなメタ・アナリシスのためにとっておける統計学的資料であった.ミスのあるデータがある場合は,今後のレビューにデータを含めるために試験の著者に連絡を取ることになるであろう.

結論:変形性股関節症患者に対するNSAIDの試験はOAの症例の同定の標準化の欠如や,アウトカムの評価の標準化の欠如によって弱められていることが明らかになった.今回の分析を基に,変形性股関節症に対してどのNSAIDを選択すればいいかを勧めることはできない.


Citation: Towheed T, Shea B, Wells G, Hochberg M. OSTEOARTHRITIS: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials of Analgesia and anti-inflammatory Therapy in Osteoarthritis (OA) of the Hip. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:谷本省三/石川鎮清,岡山雅信)