新生児における臍動脈カテーテルの使用:ヘパリンの効果

Umbilical artery catheters in the newborn: effects of heparin

Barrington KJ

最終更新日:11/08/1997


目的:新生児において臍動脈カテーテルを通してヘパリンを注入することにより臨床的な虚血性変化・カテーテル閉塞・大動脈血栓症・脳室内出血・高血圧・死亡などの頻度及びカテーテル使用の持続性に影響があるかどうかを評価すること.

検索方法:臍動脈カテーテル使用に関するランダム化又は準ランダム化試験を以下の資料より得た.1. 「Effective Care of the Newborn Infant」J C Sinclair,M B Bracken編集 2. Melvyl MEDLINE Plusとキーワード"Umbilic"・"Catheter"また主題"Infant,Newborn"を用いたMedline検索 3. 個人データファイルの検索.

選択基準:あらゆる出生時体重・出生週数の新生児に関するランダム化試験.注入物自身にヘパリンを加えたものとフラッシュ液にのみヘパリンを加えたものとの比較を含み,ヘパリン化された注入液とそうでないものの比較.臨床上重要な結論であるカテーテル閉塞や大動脈血栓症を含んでいること.

データ収集と解析:5つのランダム化比較試験が抽出された.全てはカテーテル閉塞の頻度を詳細に報告していた二つは大動脈血栓症についても報告していた.方法は比較的統一されていた.ヘパリン注入濃度を0.25unit/mlとしていた一つを除き,全て1unit/mlとしていた.概して試験は正期産児と早期産児との両方を対象としていた.

主な結果:注入物のヘパリン化はカテーテル閉塞の頻度を減少させたが,大動脈血栓の頻度には影響しなかった.フラッシュ液のヘパリン化は十分な選択肢ではなかった.脳室内出血・死亡・臨床的な虚血性変化の頻度に影響はないようであった.

結論:臍動脈カテーテルを通してのヘパリン化溶液の注入は臍動脈カテーテル閉塞の頻度を減少させた.現在まで調べられた最も低い濃度(0.25unit/ml)は効果的であることが示された.注入物自身をヘパリン化させずフラツシュ液のみをヘパリン化しても効果はなかった.大動脈血栓症の頻度は影響されなかった.けれどもこの効果に対する信頼区間は大変幅広い.脳室内出血の頻度は注入物のヘパリン化により影響されなかった.しかし信頼区間は大変幅広く,さらにグレイド3と4の脳室内出血の頻度を大きく増加させることはなかった.


Citation: Barrington KJ. Umbilical artery catheters in the newborn: effects of heparin. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:直江正保/佐藤孝道)