非経口的栄養投与中の新生児への極少経腸栄養投与

Minimal enteral nutrition in parenterally fed neonates

Tyson JE, Kennedy KA

最終更新日:16/07/1997


目的:非経口的栄養投与を受けているハイリスク新生児について,極少経腸栄養(MEN)をおこなったものと,経腸栄養投与をしないものとを比較し,摂食能力と新生児のその後の予後について評価する.

検索方法:検索は,Oxford Database of Perinatal Trials,MEDLINE,カンファレンス予稿集と抄録集,英語で出版された関連のある参考文献,個人的に連絡を取って確認された研究から行われた.

選択基準:ランダム化または準ランダム化臨床試験のみに注目した.極少経腸栄養投与(定義:供給濃度,最大25kcal/kg/dayもしくはこれ以下に希釈,5日間以上)と,経腸栄養非投与(無摂食または水だけ)とに,ハイリスク新生児をランダムに割付け登録した試験が含まれた.

データ収集と解析:二人の判定者が試験の包括について合意した.臨床的結果の関連するデータは,別々に二人の判定者によって抽出され,評価された.誤ったデータを明らかにしたり補ったりする必要がある時に,筆者らに連絡が取られた.必要な具体的なデータについては,文書としての報告を求めた.

主な結果:極少経腸栄養(MEN)を与えられた児に共通して,全体的に次の点で減少が認められた.全て経腸栄養投与であった日数,経腸栄養投与の維持された日数,入院日数.壊死性腸炎については認識できるような効果はなかった.

結論:MENの利点の評価については,以下のような様々な理由のため,納得のいく分析がなされていない:ハイリスクの児に対する経腸栄養投与を評価するということが本質的に困難であること.いままでの研究は小規模で方法論的に限界があること.利点と思われるものの1部に関しては,説明のつかない不均一さがあるということ.不公平さを排除しない研究からの知見に影響を与えるバイアスの存在する可能性があること.MENが壊死性腸炎を増加させるかもしれないという可能性が除外されていないこと.これらの理由から,経腸栄養をしていないときに,MENを行うべきなのかどうかについては明確でない.


Citation: Tyson JE, Kennedy KA. Minimal enteral nutrition in parenterally fed neonates. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:安西邦男/佐藤孝道)