早期産児の無呼吸に対する運動感覚刺激とテオフィリンの比較

Kinesthetic stimulation vs theophylline for apnea in preterm infants

Osborn DA, Henderson-Smart DJ

最終更新日:18/02/1998


目的:主な問題: 早期産児において,未熟児の無呼吸の治療に,運動感覚刺激がキサンチン誘導体治療と比較してどうであるか.

検索方法:新生児レビューグループの標準的な調査方法が使われた.周産期試験のオックスフォード・データベース,コクラン比較臨床試験レジスター,MEDLINE,参照を含めた以前のレビュー,要約,学会の抄録,専門家の情報,ハンドサーチした主に英文の雑誌が調査に組み込まれた.

選択基準:未熟児の無呼吸に対して,運動感覚刺激とキサンチン誘導体治療を比較した,ランダムまたは準ランダムに患者を割付けたすべての試験が,候補となった.これらの基準に適合した試験でレビューから除外したものはなかった.

データ収集と解析:コクラン共同計画とコクラン新生児レビューグループの標準的な方法を用い,2人の著者が試験の質の評価とデータの抽出を別々に行い,相対危険度や加重平均差を使ったデータの合成を行った.

主な結果:臨床的に重大な無呼吸(無呼吸 >14秒かつ徐脈 <100,かつチアノーゼがあるか刺激をうけている)の平均出現率に関して,振動ウォーターベッドと比べてテオフィリン治療の新生児に有意に利点があることを示した新生児20例の小規模な研究が1つみられた.悪い影響(死亡,睡眠状態,アルバート・アインシュタイン神経行動指数,有害な神経学的結果,そして6ヶ月と12ヶ月におけるBayley精神的発達指数)に有意差はなかったが,振動ウォーターベッドの新生児では12ヶ月だけでなく6ヶ月でも精神運動指数が高かった.呼吸促迫症候群の頻度と重症度,無呼吸の平均出現率については,両群に差を認めた.

結論:このレビューの結論は注意して扱うべきである.1つの小規模な試験で,未熟児の臨床的に重大な無呼吸の治療に,テオフィリンは運動感覚刺激より優れていることが示されている.現在のところ,未熟児の無呼吸の治療にキサンチン誘導体と運動感覚刺激を比較した明らかな研究はない.


Citation: Osborn DA, Henderson-Smart DJ. Kinesthetic stimulation vs theophylline for apnea in preterm infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:谷本省三/佐藤孝道)